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較ぶ
「較ぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
較ぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
姿は等しい三十余の山々。それ等はみなわたくしを母のようにしております。わたくしに
較ぶ山はございません。わたくしは確かに選まれたという自覚を今更どう取り消しようも....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
の中をあちらこちらと歩む。盾は依然として壁に懸っている。ゴーゴン・メジューサとも
較ぶべき顔は例に由《よ》って天地人を合せて呪い、過去|現世《げんぜ》未来に渉《わ....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
した。とは云え三千ポンドは決して安い金ではない、医師の報酬や弁護士の手数料などに
較ぶれば、殆ど比較にならぬほどの多額だ。余は承諾しながらも心の底に此の様な想いが....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
に誘はるゝ、南楼の月を弄ぶ輩も月に先立て有為の雲に隠れり。人間五十年|化転の内を
較ぶれば夢幻の如く也、一度生を稟け滅せぬ物のあるべきか……」 朗々として迫らな....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
は斯る医官の証言に向いては少しの重みも有る可きに非ず、斯思いて余は二人の医官を見
較ぶるに一方は瘠せて背高く一方は肥て背低し斯も似寄たる所少き二人の医官が同様の見....
「運命」より 著者:幸田露伴
は皇祖の親しく定めさせたまえるところにして、朕に命じて細閲せしめたまえり。前代に
較ぶるに往々重きを加う。蓋し乱国を刑するの典にして、百世通行の道にあらざる也。朕....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
めた。パアル・アンチシパションに園遊会を催したのである。歳の初の発会式も、他家に
較ぶれば華やかであった。しほの母は素京都|諏訪神社の禰宜飯田氏の女で、典薬頭某の....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
珊瑚だ。 美女 まあ、父に下さいました枝よりは、幾倍とも。 公子 あれは草です。
較ぶればここのは大樹だ。椅子の丈は陸の山よりも高い。そうしている貴女の姿は、夕日....
「錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
りく そう、見つけて来ましょう。(起つ。) 撫子 (熟と籠なると手の撫子とを見
較ぶ。) りく これじゃいかが。 撫子 ああ結構よ。(瓶にさす時水なし)あら水が....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
が、出刃庖丁を斜に構えて、この腸を切売する。 待て、我が食通のごときは、これに
較ぶれば処女の膳であろう。 要するに、市、町の人は、挙って、手足のない、女の白....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、芝居がかりで世間を欺くが、信長ときてはお能がかりだ。 人間五十年、化転の内を
較ぶれば…… 道庵先生はこの時、異様な声を張り上げて、繰返し繰返しこの文句を....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
が知れりしよりは著しく足早になりぬ。活計にせわしきにや、夜ごとに集う客の数も思い
較ぶればいと少し。 物語の銀六は、大和|巡する頃病みてまかりぬ。小六はおいたり....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
ったがやはり江戸時代は暗かった。 ◇ 花火について見るも、今日に
較ぶればとても幼稚なもので、今見るような華やかなものはなかった。何んの変哲も光彩....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
りに立っていた坑夫達の間には、異様な騒ぎが起りはじめた。海水の浸入! この事実に
較ぶればいままでの殺人事件なぞ、坑夫達にとってはなんでもない。技師は、燃上る瞳に....
「味覚の美と芸術の美」より 著者:北大路魯山人
木目が揃っていて、ちょっと見にいかばかり美しかろうとも、日本の杉の有するよさには
較ぶべくもない。すべてがそれであり、その源泉は日本に恵まれた自然の影響ということ....