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輳
「輳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
輳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
おとなしく傍に着いている。雨は部屋を取り巻いて吹き寄せて来る。遠い所から風が音を
輳《あつ》めてくる。ざあっと云う高い響である。また広い響である。響の裡《うち》に....
「琴のそら音」より 著者:夏目漱石
君が風邪《かぜ》を引いたんだね。ちょうど婆さんの御誂《おあつら》え通りに事件が輻
輳《ふくそう》したからたまらない」 「それでも宇野の御嬢さんはまだ四谷にいるんだ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
り。一戦の後、太平洋上の敵機を撃滅せんとす」 「よし、御苦労」 報告は俄然、輻
輳して来たのだった。司令官と幕僚とは、年若い参謀が指し示す刻々の敵機の位置に、視....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
帽子を脱するだけの用意はいつでもしていなくてはならない。私はまだいいたいことは輻
輳していて、指定された紙数は後三枚しか残っていないから、同人雑誌『愛の本』におい....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
と日本精神の「構成要素」は、「生命創造主義的」なことや、「中正不偏」なことや、「
輳合調和に長ずる」ことや、「積極的に進取膨脹を旨とする」ことや、「明朗」なことや....
「寒の梅」より 著者:宮本百合子
す、新しい畳のへりなど、茶色や黒い線が、かすかに西日を受ける部屋の中で物珍しく輻
輳した感じでいちどきに目に映った。火鉢のわきにいつもの場処にさて、と坐る。どうも....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
木に船を繋いで、秋の紅葉を探勝することは特によろこばれていた。季節々々には船が輻
輳するので、遠い向う岸の松山に待っていて、こっちから竹屋! と大声でよぶと、おう....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た。セーヌ河に近づくに従って、霧はさらに濃くなってきた。馬車は抜け出せないほど輻
輳《ふくそう》してきた。一頭の馬が滑って横に倒れた。御者はそれを立たせようとやた....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
までした。そのために悪評は一般の信ずるところとなってしまった。預金返還の要求が輻
輳《ふくそう》してきた。彼はその要求に追いつめられてまったく途方にくれた。ちょっ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ろう。
彼は幾多の群集に近寄って、その話に耳を傾けた。――法廷は事件が非常に輻
輳《ふくそう》していたので、裁判長はその一日のうちに簡単な短い二つの事件を選んだ....
「どぶろく幻想」より 著者:豊島与志雄
線。電気のスパーク。石炭の黒煙。白い蒸気。高い台地の裾に繰り広げられてる線路の輻
輳。駅はどのあたりやら見当もつかない。どうしてこうめちゃくちゃに線路を寄せ集めた....
「落雷のあと」より 著者:豊島与志雄
って、数名の同志と共同経営をしていました。印刷機械其他万般の修理復興や、急激に輻
輳してきた仕事の註文などで、寸暇もない有様でした。体力と精神力を睨み合せて、働け....
「深川の散歩」より 著者:永井荷風
木川《おなぎがわ》の川口にかかっている。これら両岸の運河にはさまざまな運送船が輻
輳《ふくそう》しているので、市中川筋の眺望の中では、最も活気を帯び、また最も変化....
「申訳」より 著者:永井荷風
いと思う時には、僕は人の手を借らずに自分で料理をつくる癖がある。けれども俗事の輻
輳した時にはそうもして居られない。且又炎暑の時節には火をおこして物を煮る気にもな....
「深川の唄」より 著者:永井荷風
の激変をどうして感ぜずにいられよう。 夕陽《ゆうひ》は荷舟や檣《ほばしら》の輻
輳《ふくそう》している越前堀からずっと遠くの方《ほう》をば、眩《まぶ》しく烟《け....