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輾転
「輾転〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
輾転の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ばしてしまった。横になりはしたがいつまでも寝つかれないで二時近くまで言葉どおりに
輾転《てんてん》反側しつつ、繰り返し繰り返し倉地の夫婦関係を種々に妄想《もうそう....
「母」より 著者:太宰治
い気持になり、いかん! つまらん! など低く口に出して言ってみたりして、床の中で
輾転《てんてん》しているのである。泥酔して寝ると、いつもきまって夜中に覚醒し、こ....
「めくら草紙」より 著者:太宰治
て、私ひとりのこされ、いっそ石になりたいくらいの羞恥《しゅうち》の念でいたずらに
輾転《てんてん》している。手も届かぬ遠くの空を飛んで居る水色の蝶を捕虫網で、やっ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
に、魂の傷つけられた若者はさらにひとしお世のはかなさをおぼえたものか、いくたびも
輾転《てんてん》と床の中で寝返りを打っているけはいでしたが、みずからの明知を信じ....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
から、顔面が無残な苦痛で引ん歪んでいるにもかかわらず、たとえ十数秒の間でも床上を
輾転反側した跡がない。無論手足に痙攣らしいものが見えるけれども、それには明確に表....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
元より愚物|所ではない人並勝れて智恵の働く彼の事である。深夜人の寝静まった監房に
輾転反側しながら、頭は益※冴えかえり、種々画策する所があったに相違ない。 彼は....
「魔法修行者」より 著者:幸田露伴
る席田郡の妖巫の、その霊|転行して心を※祇尼法らしいから、随分と索隠行怪の徒には
輾転伝受されていたのだろうと思われる。伝説に依ると、水内郡荻原に、伊藤|豊前守忠....
「斜陽」より 著者:太宰治
。 僕に、砂を噛ませないで。 壁から忍び笑いの声が聞えて来て、深夜、床の中で
輾転しているのです。 僕を恥ずかしい目に逢わせないで。 姉さん!」 そこま....
「連環記」より 著者:幸田露伴
う。世外の老人の死だから、五年やそこらは何れが真実でも差支は無いが、想うに書写|
輾転の間に生じた何れかの誤りなるのみであろう。長徳の方が正しいかも知れぬ。長保四....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
てしまった。そして彼がカーテンをおろした部屋のまっくらな夜の闇の中で、横になって
輾転反側していると、エンフィールド氏から聞いた話が、一連の幻灯の絵巻物となって彼....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
に変わっていった。 こうして苛いらしながら七日の間、いろいろのことを考えながら
輾転反側しているうちに、かえって私の肉体は日増しに丈夫になっていって、寝室の鏡に....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
環と見做している。人間の霊が永遠の女性に導かれて昇天するよりも、永遠の輪廻の途を
輾転するのが順当だと思っているのである。迷妄の中で仏縁にあずかりたいのである。地....
「競漕」より 著者:久米正雄
間に二三軒横の言問団子の製餅場で明日の餅を搗き初める。しかしそれを気にして床上に
輾転しているのは久野だけである。彼は他の人たちの健やかな眠りと健やかな活力を羨ま....
「たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
から珍重されているのである。 折りから八月の末近く南国とはいいながら、車の窓に
輾転する峠の山々にどこか秋の気が忍び寄って、山骨を掩う木の緑の葉も、艶彩のさかり....
「黄八丈の小袖」より 著者:岡本綺堂
て、寝坊だと笑われている自分が今夜は何うして睡られそうもないので、お菊は幾たびか
輾転した。軈てうとうとと湿れていた。 「ああ気味が悪い。」 彼女は寝衣の袂で首....