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「輾転反側〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

輾転反側の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
一兵卒」より 著者:田山花袋
られなくなった。綿のように疲れ果てた身でも、この圧迫にはかなわない。 無意識に輾転反側した。 故郷のことを思わぬではない、母や妻のことを悲しまぬではない。こ....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
から、顔面が無残な苦痛で引ん歪んでいるにもかかわらず、たとえ十数秒の間でも床上を輾転反側した跡がない。無論手足に痙攣らしいものが見えるけれども、それには明確に表....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
元より愚物|所ではない人並勝れて智恵の働く彼の事である。深夜人の寝静まった監房に輾転反側しながら、頭は益※冴えかえり、種々画策する所があったに相違ない。 彼は....
今日の文学の鳥瞰図」より 著者:宮本百合子
の知性によって切り離され、次第に芸術の内容を非社会的な、主観と理念と弱小な自我の輾転反側の中に萎縮させて来たことは、見易い現実の推移であった。 今日、林、小林....
トコヨゴヨミ」より 著者:田山花袋
持っている思想を紙にのばすことが出来ないで煩悶した彼、美しい女の幻影にあこがれて輾転反側した彼、キラキラする烈しい日光のような刺戟に堪えられずに絶えず眩惑する頭....
カール・マルクスとその夫人」より 著者:宮本百合子
エニーのいない地球のあらゆる土地は、彼の体と心とにしっくり合わなくなった。旅行は輾転反側のように見えた。一八八三年三月十四日――イエニーの死後三年目の早春に、人....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
》を救うことも、束縛を解放してやることもできないのです――二つ相抱いて周章狼狽、輾転反側《てんてんはんそく》している。 やがて、いっそう恐ろしい悲鳴と、絶叫と....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
させているのです。といっても、イヤなおばさんの身体そのものは、それがために少しも輾転反側するわけではなく、以前と同様の安静と、無表情と、微動だもしない死そのもの....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ですから、何か話しかたの一工夫をしてはどうでしょう。そのことで私のこういう苦しい輾転反側が解決される部分もあるのではないでしょうか。こういう状態が続くと私は、自....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ば、のところがあっておかしいわね。 さて、先週の火曜からの一週間は、私にとって輾転反側の一週間でした。そして、いろいろと発見をいたしました。 物をかくひとの....
ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
てしまった。そして彼がカーテンをおろした部屋のまっくらな夜の闇の中で、横になって輾転反側していると、エンフィールド氏から聞いた話が、一連の幻灯の絵巻物となって彼....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
に変わっていった。 こうして苛いらしながら七日の間、いろいろのことを考えながら輾転反側しているうちに、かえって私の肉体は日増しに丈夫になっていって、寝室の鏡に....
双面獣」より 著者:牧逸馬
此のロスリッジ青年は、何時になく妙に寝つかれなくて困っていた。寝台《ベッド》に輾転反側して、眠りが来るようにしきりに祈りながら、一生懸命に眼をつぶっていると、....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
むと見ればたちまち退き、右によろめき左にのめくり、一|上《じょう》一|下《げ》、輾転反側。さればコン吉は、手鍋《キャスロオル》の中で炒《い》られる腸詰のごとく、....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
がて人々は別れ去って、私も疲れたからだをやっと蒲団に横たえましたが、どんなに私が輾転反側してその夜一晩、まんじりともせずに夜を明かしたかは、もう先生、貴方にも想....