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轟く
「轟く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
轟くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
た海のごとく、あるいはまた将《まさ》に走らんとする乗合自動車のモオタアのごとく、
轟く胸の中に描いているのは、実にこの来るべき不可思議《ふかしぎ》の世界の幻であっ....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
刀乱麻《かいとうらんま》を断《た》つの態で解け去るかもしれないのだ。水戸記者は、
轟く胸を抑えつつ軟泥を蹴って前進した。 一行が、それから百歩ばかり前進したとき....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
工廠の夜の光景は、楽天的に視ると、向島の花盛を幻燈で中空へ顕わしたようで、轟々と
轟く響が、吾妻橋を渡る車かと聞なさるるが、悲観すると、煙が黄に、炎が黒い。 通....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
〃 の撥ねし冬陽哉 十二月二十八日 ◯きょう午後一時半ごろ、高射砲音
轟く。外へ出てみると、一機北方の空に西から東へ雲を曳いている。眼鏡でみれば、まさ....
「河明り」より 著者:岡本かの子
漁る。 烏の足掻きの雪の飛沫から小さな虹が輪になって出滅する。太鼓の音が殷々と
轟く。向う岸の稲荷の物音である。 私は一人になって火鉢に手をかざしながら、その....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
倍増して、さながら地軸を震動させんばかりの轟きであった。そして、そのおどろと鳴り
轟く響が、陰惨な死の室の空気を揺すりはじめたのである。それこそ、中世|独逸の伝説....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
じ処を凝視めているのを、宗吉はまたちらりと見た。 ああその女? と波を打って
轟く胸に、この停車場は、大なる船の甲板の廻るように、舳を明神の森に向けた。 手....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
うであった。 「おい、もう帰ろうよ、暗くなった。」 雲にも、人にも、松崎は胸が
轟く。 「待ってて下さい。」 と見返りもしないで、 「見ますよ、見るけれどもね....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
た。更めて、新しく立ちかかったものもあった。 室内は動揺む。嬰児は泣く。汽車は
轟く。街樹は流るる。 「誰の麁※じゃい。」 と赤ら顔はいよいよ赤くなって、例の....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
こぼれて来よう。心だのみの、それが仇で、人けがなさ過ぎると、虫も這わぬ。 心は
轟く、脉は鳴る、酒の酔を円タクに蒸されて、汗ばんだのを、車を下りてから一度夜風に....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
立ちて、首をさげ、肩を垂れ、襟深く頤を埋めて力なげに彳みたまう。病気にやと胸まず
轟くに、やがて目をあげて此方を見たまう時、莞爾として微笑みたまえば、病にはあらじ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
ものの情深く優しき声して、 「待遠かったでしょうね。」 一言あたかも百雷耳に
轟く心地。 「おお、もう駒を並べましたね、あいかわらず性急ね、さあ、貴下から。」....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
んざくような爆音がしたかと思うと、一寸さきも見えないほどの砂煙りがぱっと立った。
轟く音、枝の裂ける音、そうして光りが十ヤードばかり――松や藪や、ありとあらゆる物....
「活人形」より 著者:泉鏡花
きて煙管を杖、「親方、逢わしておくんねえ。と異にからんで言懸くれば、それと察して
轟く胸を、押鎮めてぐっと落着き、「逢わせとはそりゃ誰に。亭主ならば私じゃ、さあお....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
ものはなくなった。ちょっとの用事にも人々は匍って歩いた。翌日の朝の八時頃、車軸の
轟くような音がすると間もなく、富士の裾野の印野村の上の木山と砂山の境のところから....