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「辛さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

辛さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
真夏の夢」より 著者:有島武郎
「私はそこに行きたいなあ」 と子どもが言いました。 「私もですよ」 と憂さ辛さに浮き世をはかなんださびしいおかあさんも言いました。....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
。 「従って、対手を不機嫌にした、自分を知って、偶然にその人に雇われて賃銭を取る辛さは、蓑もあら蓑の、毛が針となって肉を刺す。……撫肩に重荷に背負って加賀笠を片....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
蛸とくあのく鱈――」 ……時節柄を弁えるがいい。蕎麦は二銭さがっても、このせち辛さは、明日の糧を思って、真面目にお念仏でも唱えるなら格別、「蛸とくあのく鱈。」....
南地心中」より 著者:泉鏡花
貴女様の召しものの薫が、魔薬とやらを嗅ぎますようで、気が遠くなりました。 その辛さより、犬になってのこのこと、下屋を這出しました時が、なお術のうござりましてご....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
しいか、楽しいか。」 「恐縮だよ。」 「ほんに、他人に育てられてみん事には、その辛さは分らんぞね。」 「恐縮だよ。」 「それを、それを、まだ碌に目もあかん藁の上....
ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
だと、彼は何の考えもなく怒りました。 振仮名を拾って大骨を折ってする彼の読書の辛さを思いやって、Gはある時、肩のこらぬ面白そうなものを、というので、講談に近い....
北斗帖」より 著者:違星北斗
俺 ガッチャキは痔 昼飯も食わずに夜も尚歩く 売れない薬で旅する辛さ 世の中に薬は多くあるものを などガッチャキの薬売るらん ガッチャキの薬をつ....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
上る事を許されしが、この二週間例年になき発熱の日つづきたること故、寝ていることの辛さ、ことに枕に頭をつけての食事は、機関車の中にあるの想いにて苦しきことなりき。....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
泣いた。彼は帰りたくもあったが、しかし水戸を只ひとりで非常な危険へ追いやることの辛さ故に泣いたのであった。 「水戸。危険な仕事は出来るだけ早く切り上げて、オルタ....
月世界探険記」より 著者:海野十三
たが、艇長ははじめの誓約をたてにして承知しなかった。悲惨なる光景だった。送る者の辛さは、去く者の悲しさに数倍した。 「じゃ、皆さん、ご機嫌よう!」 弱々しいこ....
蠅男」より 著者:海野十三
いった出世を躓かせることになるし、住吉警察署はなにをしとるのやと非難されるだろう辛さが、もう目に見えていた。彼は全力を挙げて、この正体の知れぬ殺人魔と闘う決心を....
食魔」より 著者:岡本かの子
りに煙草の煙を吹き上げては椅子に踏み反って行くだけ、姉娘のお千代は、居竦まされる辛さに堪えないというふうにこそこそ料理道具の後片付けをしている。一しきり風が窓硝....
富士」より 著者:岡本かの子
見れば見られる。 「わたくしが、わたくし自身を知ったということの誇らしさ、また、辛さ。それを何とお話したらよいでございましょう。判って頂ける言葉に苦しみます。こ....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
芳志は、死んでも決して忘れないと繰り返して感謝した。その感謝をうけ取るに堪えない辛さと苦しさとを我慢して、小坂部は早々に別れて来たのである。これでかれは先ず自分....
心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
する男も辛《つら》いには相違ないが、これから先、朝に夕にその苦労を思いやる自分の辛さもしみじみ思いやられた。そんな苦しい思いをした上で、確かに末の楽しみがあるや....