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「辛抱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

辛抱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
もっとえらくなりますからね。」 「えらくなりますから?」 「ですからね。よくね。辛抱おしなさいって。」 「辛抱しているよ。」馬琴は思わず、真面目な声を出した。 ....
おぎん」より 著者:芥川竜之介
爛《ただ》れるにしても、はらいそ(天国《てんごく》)の門へはいるのは、もう一息の辛抱《しんぼう》である。いや、天主の大恩を思えば、この暗い土の牢さえ、そのまま「....
仙人」より 著者:芥川竜之介
暮らす時に、彼は、よく空腹をかかえながら、五匹の鼠に向って、こんな事を云った。「辛抱《しんぼう》しろよ。己《おれ》だって、腹がへるのや、寒いのを辛抱しているのだ....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
心算《つもり》なんだ。」と尋ねますと、相手は例のごとく澄ましたもので、「もう一日辛抱し給え。明日の今時分までにゃ、きっと君にも知らせられるだろうと思うから。――....
或る女」より 著者:有島武郎
り回す事に興味をつないでみた。しかし心の底の恐ろしく物質的な葉子にどうしてこんな辛抱がいつまでも続こうぞ。結婚前までは葉子のほうから迫ってみたにも係わらず、崇高....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
あく奴ではない。うっかり女房にでも愛想を見せれば大事《おおごと》になる。 「まあ辛抱してやるがいい。ここの親方は函館《はこだて》の金持《まるも》ちで物の解《わか....
星座」より 著者:有島武郎
婆やを泣かせようかとも思ったが、はした金にありつくのに、婆やの長たらしい泣き言を辛抱して聞いているのはやりきれない。やはり園が一番いい。すべての点において抵抗力....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
い出が、ゆるやかに浜に立つ人の胸に流れこむ。五か月の長い厳冬を牛のように忍耐強く辛抱しぬいた北人の心に、もう少しでひねくれた根性にさえなり兼ねた北人の心に、春の....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
景気でござります。でもな、お寝ります時分には時間になるで静まりましょう。どうぞ御辛抱なさいまして。」 「いやいや、それには及ばぬ、それには及ばぬ。」 と小父者....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
のは名も知らない。てんで顔を見せないんだから。」 「自棄をいうなよ、そこが息子の辛抱どころだ。その遊女に、馴染をつけて、このぬし辻町様(おん箸入)に、象牙が入っ....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
旨く行ったのね。」 「旨く行きましたね。」 「後で私を殺しても可いから、もうちと辛抱なさいよ。」 「お稲さん。」 「ええ。」となつかしい低声である。 「僕は大空....
野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
どれるだろうよ。」と、その妖女はいいました。「でも、おまえさんにそこまでの勇気と辛抱があるかい。ほんとうに、水はおまえのきゃしゃな手よりもやわらかだ。けれどもあ....
初雪」より 著者:秋田滋
のさ。こんな片田舎のことだ、巴里ッ児の真似は出来るもんでもない、私たちは燠でまア辛抱しなけれアなるまいよ。それにもう、そう云ってるうちにじき春だからね」 ....
狂人日記」より 著者:秋田滋
にか好い、どんなにか珍らしいものに相違なかろう。 八月二十二日―― 私はもう辛抱が出来ない。ためしにまず小鳥を一羽殺してみた。 下男のジャンが、ひわを一羽....
活人形」より 著者:泉鏡花
わ。また出て失しょうと思いやあがって、へん、そう旨くはゆかないてや、ちっとの間の辛抱だ。後刻に来て一所に寝てやる。ふむ、痛いか様を見ろ。と下枝の手を見て、「おや....