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辞する
「辞する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
辞するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「空中漂流一週間」より 著者:海野十三
知って、大いにうたれた。 その「火の玉」少尉は、田毎大尉と旧友戸川中尉との前を
辞するときに、一段とかたちを改め顔面を朱盆のごとに赫くして、 「でありますが、こ....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
後生だ。頼む。逢って行ってやっておくれ。」 「でもそれだけは。」 謙三郎のなお
辞するに、果は怒りて血相かえ、 「ええ、どういっても肯かないのか。私一人だから可....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
ていた。医師の診断をうけた私は、急性の軽い胸部疾患であることを知った。私は会社を
辞することを命ぜられた。三カ月は療養せねばならなかった。別に病気をおそれる気持も....
「恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
とは夜間寄宿舎の窓より、勝手に小便を垂れ流す事なり。僕は時と場合とに応じ、寮雨位
辞するものに非ず。僕問う。「君はなぜ寮雨をしない?」恒藤答う。「人にされたら僕が....
「二・二六事件に就て」より 著者:河合栄治郎
方を採るならば、その所信に於て貫徹を期すべきである。所謂責任と称してその都度職を
辞するが如きは、其の意味の責任を果たさざるものである。幸いにして此の機を利用して....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
て「そんな事も考えたが実は猶だ決定したのではない」と打消し、そこそこに博士の家を
辞するや否、直ぐその足で私の許を訪い、「今、坪内君から聞いて来たが、君はこうこう....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
る大抱負を有するなら努めて寛闊なる襟度を養わねばならない、例えば西園寺侯の招宴を
辞する如きは時の宰相たり侯爵たるが故に謝絶する詩人的|狷介を示したもので政治家的....
「人身御供と人柱」より 著者:喜田貞吉
の場合敵に提供するものは、必ずしも人間とのみは限らぬ。敵の要求する物品またこれを
辞する事は出来ない。漢の天子が匈奴の襲撃から免れんが為に歳幣を約し、婦女を送った....
「本州における蝦夷の末路」より 著者:喜田貞吉
あります。大君の御為には、屍を海の水に漬し、また山で草が屍に生えようとも、決して
辞するところではない。ただ大君のほとりにのみ生命を捨てるので、むだな犬死はせぬと....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
て誓願を立てたがこの国境までにはまずどうにか無事に着いたかと思うと、かつて郷関を
辞する時分には今より三ヵ年の後にはチベットの国境にはいることが出来るであろう、何....
「明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
に違反すという反対論多く、諸新聞の攻撃もまた猛烈。それがために団十郎は遂に頭取を
辞するに至れり。 ○十一月、市村座の新築落成して、十日より開場。元地の猿若町に最....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
徹底的に戦う積りであります。私らは、大阪市をこの煤煙の圧制より解放するために死も
辞するものではありません。 ……それでなくても、肺病で殺されるのでありますから....
「エタに対する圧迫の沿革」より 著者:喜田貞吉
に一勢力をなす程の数に達しておらなんだ彼らは、ますます自ら谷底に落ち込むの窮境を
辞する事が出来なかったのである。 因は果を結び、果は因を生ずる。彼らの堕落はま....
「エタ源流考」より 著者:喜田貞吉
り、その支配を受ける事になった一例であるが、普通民でも生きんが為には時に賤業をも
辞する事が出来ずして、その手下となって職を得るという場合の多かった事は言うまでも....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
を帰して、時間の都合でもあるのか、少し悠然と落付いて話込んでいましたが、その家を
辞する頃は、もう人の顔が見分られないほどに、夕闇が迫って居りました。 K夫人は....