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「辺土〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

辺土の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
如何《いか》に中御門の御姫様は御美しいのに致しましても、一旦の御歎きから御生涯を辺土に御送りなさいますのは、御不覚と申し上げるよりほかはございますまい。 が、....
俊寛」より 著者:芥川竜之介
るまい。が、流人《るにん》とは云うものの、おれたちは皆|都人《みやこびと》じゃ。辺土《へんど》の民はいつの世にも、都人と見れば頭を下げる。業平《なりひら》の朝臣....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
。それはまさに、人間退化の極みである。あるいは、孤島の中にもあらうし、極地に近い辺土にも――そこに棲む人達さえあれば、必ず捉《とら》まえてしまうであろう。けれど....
島原の乱」より 著者:菊池寛
た。 「天主の教を奉じての事故日本全土を敵とするも懼るるに当らない。況んや九州の辺土をや。事成らばよし、成らずば一族天に昇るまでの事だ」聞く者皆唯々として従った....
真田幸村」より 著者:菊池寛
者になるだけあって、少しも怯びれず、「北条家に於て、更に違背の気持はなかったが、辺土の武士時務を知らず、名胡桃を取りしは、北条家の運の尽くる所で、是非に及ばざる....
小田原陣」より 著者:菊池寛
悪鬼の如く城門に迫って行ったとあるから、兎に角強いものである。小田原陣直後奥州の辺土へ転封され、百万石の知行にあきたらず、たとえ二十万石でも都近くにあらばと、涙....
運命」より 著者:幸田露伴
想を懐かず、死して万物自然の数理に安んぜんとす。従容として逼らず、晏如として※、辺土の黠豪等、或は虚に乗じて事を挙ぐるあらば、星火も延焼して、燎原の勢を成すに至....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
きぜん》たる立派な態度を何様して保ち得られたろう! であるから氏郷の佐沼の後詰は辺土の小戦のようであるが、他の多くの有りふれた戦には優《まさ》った遣りにくい戦で....
ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
って、僕は 〔Schu:tze〕 という旅館を尋ねて行った。そうすると、こういう辺土の旅舎であるのに、まだ宵の口の様な気分が漂うていた。僕は部屋を極め、それから....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
が二たび還って来ることがあるだろうか、もはやそれは叶わぬことだ。こうして年老いて辺土に居れば、寧楽の都をも見ずにしまうだろう、というので、「をつ」という上二段活....
最古日本の女性生活の根柢」より 著者:折口信夫
して、呪術をもって、村人の上に臨んでいたのである。が、こうした女君制度は、九州の辺土には限らなかった。卑弥呼と混同せられていた神功皇后も、最高巫女としての教権を....
取返し物語」より 著者:岡本かの子
源右衛門『はて、親切とおっしゃりますと』 阿闍梨『蓮如どのは永の流浪。たとえ北国辺土は教え靡くとも、都近くは留守の間の荒土。然るに叡山の西塔慶純の末流も、まだ居....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
染みて寒くなった。」 やがて平野橋、一本二本蘆の中に交ったのが次第に洲崎のこの辺土手は一面の薄原、穂の中から二十日近くの月を遠く沖合の空に眺めて、潮が高いから....
街を行くまゝに感ず」より 著者:小川未明
た中央集権的なるが故に、文化がこゝのみに発達して、都会人の生活は、問題にされるが辺土の生活は顧みられないということも、所謂、社会政策というものは、いかなるものか....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
けの眺めの下に、ぽつぽつと家が五、六戸。冬ならば、とても荒まじいであろうところの辺土である。 これが日露国境の安別かと思うと、鬼界ヶ島にでもまざまざと流されて....