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「辺幅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

辺幅の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
えなり。 渠はまた貴族的生活を喜ばず、好みて下等社会の境遇を甘んじ、衣食の美と辺幅の修飾とを求めざりき。渠のあまりに平民的なる、その度を放越《ほうえつ》して鉄....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
と唖科とに偏するというを以て、榛軒が全安を京水の許に還したそうである。 榛軒は辺幅を脩めなかった。渋江の家を訪うに、踊りつつ玄関から入って、居間の戸の外から声....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
の内科に勤むる、学問と、手腕を世に知らるる、最近留学して帰朝した秦宗吉氏である。辺幅を修めない、質素な人の、住居が芝の高輪にあるので、毎日病院へ通うのに、この院....
黒百合」より 著者:泉鏡花
に交り、くっ着いて、並んで歩く。 ここに注意すべきは多磨太が穿物である。いかに辺幅を修せずといって、いやしくも警部長の令息で、知事の君の縁者、勇美子には再従兄....
正雪の遺書」より 著者:国枝史郎
に頼まれようと、決心したのでございました。 お受けして帰ったその後の私は、益々辺幅を修めました。一層門戸を張りました。すると道場は、それに連れて繁昌するではご....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
た。文人風の洒脱な風流|気も通人気取の嫌味な肌合もなかった。が、同時に政治家型の辺幅や衒気や倨傲やニコポンは薬にしたくもなかった。君子とすると覇気があり過ぎた。....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
門の実業界に乗出そうとした。 その必要からして、官報局を罷めた後の二葉亭は俄に辺幅を飾るようになった。一体|衣服には少しも頓着しない方で、親譲りの古ぼけた銘仙....
五重塔」より 著者:幸田露伴
形を見たし、案内してこれよりすぐに汝が家へ老衲を連れて行てはくれぬか、とすこしも辺幅を飾らぬ人の、義理明らかに言葉|渋滞なく云いたまえば、十兵衛満面に笑みを含み....
随筆 私本太平記」より 著者:吉川英治
とよばれてこの国の奈落に哭く。この一文は彼を解く一ツの鍵だ。 書風からは見得、辺幅をかざらない尊氏の人間味もうかがわれる。うそでは書けない願文だし、筆のあとだ....