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「辺際〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

辺際の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
梓川の上流」より 著者:小島烏水
くわ》取る手を休めて佇《たたず》む、諸《もろも》ろの疲れ、煩い、興奮は、皆この無辺際空の大屏風《だいびょうぶ》へ来て行き止まりとなる。想像するがままに任せた山、....
俊寛」より 著者:菊池寛
てき、そして激しい渇きを感じたので、彼はよろよろと立ち上った。それでも、縹渺と無辺際に広がっている海を、未練にももう一度見直さずにはいられなかった。が、群青色に....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
その流れが何処に源を発し、何処に流れ去るのかを知らない。然しその河は漾々として無辺際から無辺際へと流れて行く。私は又その河の両岸をなす土壌の何物であるかをも知ら....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
掌とは君を迎えるべく吝ではないであろう。 ああ、今やわれら二人の間を画して、無辺際の空より切り落とされたる暗澹たる灰色の冷たい幕。われらの魂はこの幕を隔てて対....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
前に立って減らず口――しかし減らず口も、この際これだけの余裕を持ち得ることは、無辺際なる減らず口といわねばなりません。 清澄の茂太郎は、その時分、寺の東南、宮....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
窓から、遥に北の天に、雪を銀襴のごとく刺繍した、あの遠山の頂を望んで、ほとんど無辺際に投げたのです、と言った。 ――汽車は赤城山をその巽の窓に望んで、広漠たる....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
。死後の世界に於て、一つ一つ階段を登るにつれて、より多く神の愛、神の智慧の無量無辺際であることが判って来たのである。が、われ等の神につきての知識は、それ以上には....
二つの途」より 著者:豊島与志雄
ことは永久に失うことであった。彼は殆んど解く術のない矛盾に迷い込んだ。――憂悶の辺際《はて》に追い込まれた彼は、凡てを一つにまとめることが出来なかった。分離した....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
々の形が湧き出てくる。単調な力強い波動をなしながら、永遠に同じ姿でくり返される無辺際の日の中に、あるいは歓《よろこ》びの顔をしあるいは悲しみの顔をして、たがいに....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
古くいかに不具であろうとも、クリストフにとっては最良の友であった。それは音楽の無辺際《むへんざい》な世界を子供に開き示してくれた。その艶《つや》やかな黄色い鍵盤....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ものとの人為的および神為的結合から生ずる名状し難いものを、彼らは看過する。ただ無辺際なるものに面してさえおれば、彼らはほほえむ。かつて愉快を知らないが、常に恍惚....
智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
ん棄てると どうしてこんなにきれいになるのか。 年で洗はれたあなたのからだは 無辺際を飛ぶ天の金属 と私が書いたのも其の頃である。 自分の貧に驚かない彼女も実....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
うのは残念だと、非常な刺戟に打たれつつ出て参りましたが、不思議にもその法林道場の辺際より、ギョクポ・ペブという奇態な大声が聞えました。 これはチベット語で和訳....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
鳴り渡る。 なんと云う壮観だろう。だが、惜むらくは見物たるに過ぎぬ。 ああ、無辺際なる自然よ。己はどこを攫まえよう。 一切の物の乳房等よ。己はどれを手に取ろう....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
く突立つ。遥に離れて尨大な朝日岳から蒼い穏かな線のうねりが遠く天際に揺曳して、無辺際に拡がり行く巨鐘の音波のような余韻を偲ばせている。 それのみではない。日本....