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「辻堂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

辻堂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
新生」より 著者:島崎藤村
ヌ河の岸に沿うて高く立つサン・テチエンヌ寺への坂道の角には、十字を彫り刻んだ石の辻堂《つじどう》がある。香華《こうげ》を具《そな》えた聖母マリアの像がその辻堂の....
仇討三態」より 著者:菊池寛
旦、仇討を志した者が、敵を討たないで、おめおめと帰れるわけはなかった。行き暮れて辻堂に寝たときとか、汚い宿に幾日も降り籠められていたときなどには、彼はつくづく敵....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
、切って嵌めて、裾をぼかしたように部屋へ蚊帳を釣って、寂然と寝ているのが、野原の辻堂に紙帳でも掛けた風で、恐しくさびれたものだ、と言ったっけ。 その何だよ。…....
高島異誌」より 著者:国枝史郎
へ歩いて行った。 小さい峠を一つ越して、杉林の中へ這入って見た。 と、一つの辻堂がある。 辻堂の縁へ腰を掛け、彼は無心で月を見乍ら、低声で小唄を唄っていた....
薬草取」より 著者:泉鏡花
室口へ廻って、攀じ上ったものと見えます。さあ、此処からが目差す御山というまでに、辻堂で二晩寝ました。 後はどう来たか、恐い姿、凄い者の路を遮って顕るる度に、娘....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
青かった。客は、機会のこんな事は人間一生の旅行のうちに、幾度もあるものではない。辻堂の中で三々九度の杯をするように一杯飲もう、と言った。――酒は、宵の、膳の三本....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
等には、小唄|浄瑠璃に心得のあるのが少くない。行く先々の庄屋のもの置、村はずれの辻堂などを仮の住居として、昼は村の註文を集めて仕事をする、傍ら夜は村里の人々に時....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
か。かくては、一城の姫か、うつくしい腰元の――敗軍には違いない――落人となって、辻堂に※った伝説を目のあたり、見るものの目に、幽窈、玄麗の趣があって、娑婆近い事....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
もと末も分らない、雲を落ちた水のような畝った道を、とぼついて、堪らなくなって――辻堂へ、路傍の芒を分けても、手に露もかかりません。いきれの強い残暑のみぎり。 ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
、それから斜違いに向い合った沓脱の上の雨戸一枚は、閉めないで、障子ばかり。あとは辻堂のような、ぐるりとある廻縁、残らず雨戸が繰ってあった。 さて、寝る段になっ....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
町いろは道が見えて、向うの山の根を香都良川が光って流れる。わきへ引込んだ、あの、辻堂の小さく見える処まで、昨日、午ごろ夫婦で歩行いた、――かえってそこに、欣七郎....
五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
利新左衛門もいた。 それは中夏三伏の頃で、熱い日光がさしていた。 と、一つの辻堂があった。縁下から二本の人間の足が、ヌッと外へ食み出していた。そうして其の側....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
のない田圃みちや野路を一里あまりも行き過ぎて、暗い森の前に来かかると、森の前には辻堂の立っているのが星明かりで見られた。それを目あてにたどり着いて、男は辻堂の縁....
枯尾花」より 著者:関根黙庵
え、拠無く夕方から徒歩で大坂まで出掛る途中、西の宮と尼が崎の間だで非常に草臥れ、辻堂の椽側に腰を掛て休息していると、脇の細道の方から戛々と音をさせて何か来る者が....
神仙河野久」より 著者:田中貢太郎
宿をした。翌日は吉野路を通って、五条橋本など云う処を経てその夜は籠の鳥と云う山の辻堂で一泊し、十日になって紀州路から泉州の牛滝と云う処へ越え、それから葛城山へ往....