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「辿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

辿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
と気のない独り語を洩《も》らしていた。 二輛の馬車は霜どけの道をやっと火葬場へ辿《たど》り着いた。しかし予《あらかじ》め電話をかけて打ち合せて置いたのにも関ら....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
たった一人、暗い藪《やぶ》だか林だかの中を歩き廻っている夢だった。彼女は細い路を辿《たど》りながら、「とうとう私の念力《ねんりき》が届いた。東京はもう見渡す限り....
路上」より 著者:芥川竜之介
のん》な相手の足元とへ、同時に気を配らなければならなかった。 所がやっと向うへ辿《たど》りつくと、大井は俊助の心配には頓着なく、すぐにその通りにあるビヤホオル....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ながら、貪《むさぼ》るように湖を眺め続けた。しかしそれが何だったかは、遠い記憶を辿《たど》って見ても、容易に彼には思い出せなかった。 その内に雲の影が移って、....
たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
は細い膝の上にそれ等の本を開いたまま、どう云う小説を読む時よりも一生懸命に目次を辿《たど》って行った。 「木綿及び麻織物|洗濯《せんたく》。ハンケチ、前掛、足袋....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
た》まだ朝の内なのでしょう。雨、雷鳴、お島婆さん、お敏、――そんな記憶をぼんやり辿りながら、新蔵はふと眼を傍へ転ずると、思いがけなくそこの葭戸際《よしどぎわ》に....
」より 著者:芥川竜之介
たまち》にいるはずだった。わたしは電燈のともりかかった頃に本郷東片町の彼女の宿へ辿《たど》り着いた。それはある横町にある、薄赤いペンキ塗りの西洋洗濯屋だった。硝....
星座」より 著者:有島武郎
ようにものをいっていたが符号《ふごう》や数字が眼の前に数限りなくならんでいるのを辿《たど》っていくと、新井田氏の存在などはだんだん薄ぼやけてきた。今まで奥さんを....
宣言一つ」より 著者:有島武郎
だ。いかなる詭弁《きべん》も拒むことのできない事実の成り行きがそのあるべき道筋を辿《たど》りはじめたからだ。国家の権威も学問の威光もこれを遮《さえぎ》り停めるこ....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
く光った人造石の石垣に囲まれたセミオン会社の船渠を見やって居る。自分も彼の視線を辿った。近くでは、日の黄を交えて草緑なのが、遠く見透すと、印度藍を濃く一刷毛横に....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
回いよいよ思い切ってお言葉に従うことにいたしました。私としてはせいぜい古い記憶を辿り、自分の知っていること、又自分の感じたままを、作らず、飾らず、素直に申述べる....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
して享楽の二度の勤めをする。かかる悪霊の犠牲になった人間は、勿論ただ堕落の一路を辿り、一歩一歩、ぬきさしならぬ泥濘の深みにはまり込んで行く。その間彼のあわれなる....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
を放った。 私はそこで河をひとが溯るように、自分の歩んで来た一生をこうして逆に辿って行った。私は自分がその名さえ覚えていなかったほど久しい前から忘れてしまって....
親ごころ」より 著者:秋田滋
しどこかで出会ったことがあるような気がしたので、その日は夕がたまで、自分の記憶を辿辿り、あれかこれかと探してみた。だが、思いあたる男は、今ではもう老人になって....
まあまあ居士の弁」より 著者:浅沼稲次郎
状は書かずに朝迄頑張ってコブだらけの顔でビッコを引き乍らやっとのことで友人の家に辿り着いた。さあそれから、学生が大勢集って来て、大変なことになった。当時、大山郁....