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迂愚
「迂愚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
迂愚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「中味と形式」より 著者:夏目漱石
拠に自分の娘や何かを例に引いたのではなく、かえって大人もまたこの例に洩《も》れぬ
迂愚《うぐ》なものだという事を証明したいと思ってちょっと分りやすい小児を例に用い....
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
いくらいのものだし、その他の問題も普通の問題です。今ごろ要求するのは、われわれの
迂愚《うぐ》であり、同時に万寿丸の恥辱でしょう。しかし、それは、われわれにとって....
「長篠合戦」より 著者:菊池寛
先に、鳶ヶ巣以下の諸塁を夜襲し、併せて武田勢の退路を断たんことを提議した。信長、
迂愚の策を、上席に先んじて口に出したと、怒って退出したが、密かに忠次を呼び入れて....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
警抜、話をすれば談論火花を散らすに引易え、彼はわれながらもどかしくてたまらぬ程の
迂愚、編輯局の片隅に猫の如く小さくなって居たので、故人と心腹を披いて語る機会もな....
「科学者とあたま」より 著者:寺田寅彦
ち明けるものである。 科学の歴史はある意味では錯覚と失策の歴史である。偉大なる
迂愚者の頭の悪い能率の悪い仕事の歴史である。 頭のいい人は批評家に適するが行為....
「悟浄出世」より 著者:中島敦
もとに着いた。 女※《じょう》氏は一見きわめて平凡な仙人《せんにん》で、むしろ
迂愚《うぐ》とさえ見えた。悟浄が来ても別に渠《かれ》を使うでもなく、教えるでもな....
「戦争と気象学」より 著者:寺田寅彦
いの金を棒に振ったという事である。『ネチュアー』の記者はこれについて大いに当局の
迂愚を攻撃しているのは尤もな事である。 近頃またアメリカでは飛行機で大西洋を飛....
「佳日」より 著者:太宰治
ある。けれども、また大隅君にとっては、この五年振りで逢った東京の友人が、相変らず
迂愚な、のほほん顔をしているのを見て、いたたままらぬ技癢でも感ずるのであろうか、....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
いては欧州の事情も変化し、当時とは経済状態も曩日の観察をもって今日を卜することの
迂愚なることはもちろんであるが、経済的歴史事実は中断されるべきものでなく、また昔....
「魔都」より 著者:久生十蘭
うれば早や十四年、回顧いたしますれば茫乎として一瞬の夢の如くでもあります。
生来
迂愚なる私如きが、今日まで大過なく職務を遂行するを得ましたのは、偏に上長各位の懇....
「上野」より 著者:永井荷風
出来ずにいる。都市のことを言うに臨んで公園の如き閑地の体裁について多言を費すのは
迂愚の甚しきものであろう。 昭和二年六月記....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
た。細君は今さらならぬ耕吉の、その日本じゅうにもないいい継母だと思っていたという
迂愚さ加減を冷笑した。そして「私なんか嫁入った当時から、なかなかただの人ではない....
「三国志」より 著者:吉川英治
しょうか。しかも眼前に、あらゆる計画はもうできているのに」と、魯粛に諫められて、
迂愚ではない彼なので、たちまち、 「それは大きにそうだ!」 と、曹操との大決戦に臨むべく、即刻、手分けを急ぎだした。....
「三国志」より 著者:吉川英治
司馬懿は力説したが、曹真は信じない。常識から判断しても、孔明たる者が、そんな
迂愚な戦法は取るまいというのである。やって来るほどなら、我方の退却は絶好の戦機だ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
死にする所は違えても、あの世ではまたすぐ会おう。今生、あくまで生を一つにし、この
迂愚な正成について、このどたん場まで、共に志をかえず、最後まで悲風のみな菊水旗の....