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「迂路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

迂路の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
を歩くという意識があるだけだ。町外れから、曲り拗《く》ねった路や、立木の暗い下を迂路《うろ》ついて、与平治茶屋まで来た。ここで水を飲もうとすると、犬が盛に吠える....
坑夫」より 著者:夏目漱石
のぼ》りならば好いとする。その代り下りなら引返して、また出直す事にする。そうして迂路《うろ》ついていたら、どこかの作事場《さくじば》へ出るだろう。出たら坑夫に聞....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
」 「お冬があんな所をうろついていましたか」 「一旦ここを逃げてから、どこをどう迂路《うろ》ついていたのか知らねえが、橋の上で若い侍と話していて、おれの足音を聞....
模倣と独立」より 著者:夏目漱石
教えたのが、今いう安倍能成君らであります。此校《ここ》を出て、大学を出て、諸方を迂路《うろ》ついている時に教えたのが、此処《ここ》にいる速水君であります。速水君....
物理学と感覚」より 著者:寺田寅彦
執してたとえば大通りばかりを選ぶとするとそれを徹底させるためには時にはたいへんな迂路を取らねばならぬような事があるだろう。ただ一筋の系統によって一糸乱れぬ物理学....
科学論」より 著者:戸坂潤
独創性と深刻な思索との口実の下に、実は、学派的セクトに基く思いつきや、反理論的な迂路・徒労・無意味な反覆・などを敢えてしている場合が、殆んどその大部分をなしてい....
イデオロギー概論」より 著者:戸坂潤
いようなもの、がそれであると考えられる。思惟のスタイルは、世界観のスタイルという迂路を経て初めて、経済的・政治的・組織に対応せしめられることが出来る。階級という....
竹の木戸」より 著者:国木田独歩
るのである。新開地は店を早く終うのでこの店も最早閉っていた。磯は少時く此店の前を迂路々々していたが急に店の軒下に積である炭俵の一個をひょいと肩に乗て直ぐ横の田甫....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
そも白奴交易なるものは、PIMPの元締が映画的に活躍して、夜のピキャデリなんかを迂路ついてるぽっとの一細胞に過ぎなかった。 それにしても、女肉を常食とする点で....
二つの途」より 著者:豊島与志雄
ぬけ出んとする彼女の行手を遮った。何れへ向っても、堅い鉄の扉が前方を塞いでいた。迂路を取ることの出来ない直線的な彼女は、眼をつぶってその扉にぶっつかっていった。....
二科展院展急行瞥見」より 著者:寺田寅彦
は、最初には自分の本当の感じから出発するとしても、甚だしいソフィスチケーションの迂路を経由して偶然の導くままに思わぬ効果に巡り会うことを目的にして盲捜りに不毛の....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
の島の内外がきびしく調べられるだろう。所詮自分は、ハチロウを帰そうとしてこの辺に迂路ついてはいられない。では、これからどこへ行こうか。 周囲はことごとく英仏領....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
か。 『顔色が少し青い様じゃ、ポロニャス殿、……オヤ、貴公はこの間中から邸の前を迂路付き廻った御隠居さんじゃな! や、ポロニャス殿、貴公はやはり警視庁の御役人じ....
馬の顔」より 著者:田中貢太郎
普通に――町へ往くには学校の崖下になった広い街路を往くのであるが、それではひどく迂路になるので、彼は平生のようにその捷径を選んだのであった。 道夫はその日友人....
釜沢行」より 著者:木暮理太郎
、五尺の積雪を踏み分けて行くのが困難である。寧ろ不可能と称してよい。二、三十分も迂路付いた果てに林道が通じているらしい木立の間を少し辿って見ると、慥にそれである....