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「迂遠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

迂遠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
かった。寧ろ行人を眺める為に本の中の人生を知ろうとした。それは或は人生を知るには迂遠《うえん》の策だったのかも知れなかった。が、街頭の行人は彼には只《ただ》行人....
出世」より 著者:菊池寛
あるかも知れない」 こんなに考えつきやすいことを、今まで考えつかなかった自分の迂遠さが、少しばからしくなった。彼は電車が内幸町へ来ると、急いで飛び降りて、日比....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
さんは機関銃を持っている。いかに剣道、柔道の大家でも、これではダメだ。だから甚だ迂遠な方法であるが、言論戦で選挙を争っているのです。兵器の発達が世の中を泰平にし....
演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
ことの結果は、往々にして何も示さないことよりもっと悪い場合がある。かくして極めて迂遠ながら第二の説明に頼る方法が取り上げられる。現在は日本の演出者の大部分はおそ....
食魔」より 著者:岡本かの子
ような人間にとって、その過程を煩わしく諄く記述してある書物というものを、どうして迂遠で悪丁寧とより以外のものに思い做されようぞ。彼は頁を開くとすぐ眠くなった。そ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
たくないんです」 かの女は、自分がすでに感じていることを今更云い出されるような迂遠さを感じた。しかし、長幼老若の区別や、有名無名の体裁を離れて、実際の力の上か....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
頃だったと思うが、物干から下りて、十分許り池の畔で彼女に遇った。然し、幾ら世事に迂遠な僕でも、密会に均しい場所で誰が莨なんぞ喫うもんか! 以上君の質問にお答えし....
辻久一著「夜の芸術」」より 著者:岸田国士
色と同時に、ある種の偏見に対する不器用な抗議を含み、それは動もすれば性急でしかも迂遠な姿勢とみえることもある。だが、これこそ、最も気まぐれな二つの芸術――演劇と....
あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
がおろそかにされている時代に、あまりにも基礎的な問題をとりあげるのは、一見、甚だ迂遠で、その効果がないように思われがちです。僕は、いちおうそういう風潮に逆ってみ....
書記官」より 著者:川上眉山
漂わさるるこのあわれなる奴と見下し、去年哲学の業を卒えたる学士と聞きたる辰弥は、迂遠極まる空理の中に一生を葬る馬鹿者かとひそかに冷笑う。善平はさらに罪もなげに、....
今昔茶話」より 著者:国枝史郎
ず人間個々の身を修め、それから家を治め、しかる後に天下を大平にする――などという迂遠なものでは無く、のっけに、楚なら楚の王に逢い、楚国の得点をもち上げたり、欠点....
明治哲学界の回顧」より 著者:井上哲次郎
比すれば深遠となり、微妙となり、幽奥となりゆくが、どうかすると世間とかけはなれて迂遠となり微弱となるような傾向もないではない。これはジェームスのいわゆるテンダー....
贋物」より 著者:葛西善蔵
こうも言って、彼が他人の感情に鈍感で、他人の恩恵を一図に善意にのみ受取っている迂遠さを冷笑した。「ばか正直でずうずうしくなくてはできないことだ」細君は良人の性....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ます加減乗除の勘定を彼らは四人ばかり掛って慥に三日間の仕事があるのですから、実に迂遠千万と言わなければならんです。そういう遣り方で売買をするものですからなかなか....
河豚食わぬ非常識」より 著者:北大路魯山人
語る安全を信じられないということは不甲斐ないばかりか、非常識でもあり、あまりにも迂遠なこととして恥ずかしい。飛行機に乗ることが冒険である……これは肯定出来得る。....