近所合壁[語句情報] » 近所合壁

「近所合壁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

近所合壁の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
卑怯者」より 著者:有島武郎
けて知らず知らず力がこもって、唾《つば》をのみこむとぐっと喉が鳴った。その時には近所合壁から大人《おとな》までが飛び出して来て、あきれた顔をして配達車とその憐《....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
》も一人で合点《のみこ》み、 「ええ、織さん、いや、どうも、あの江戸絵ですがな、近所合壁《きんじょがっぺき》、親類中の評判で、平吉が許《とこ》へ行ったら、大黒柱....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
と吾輩もこれは洗湯の逆上がまださめないためだろうと思ったくらいだ。元来この主人は近所合壁《きんじょがっぺき》有名な変人で現にある人はたしかに神経病だとまで断言し....
丹下左膳」より 著者:林不忘
ながら、 「これは爺さんに、すこし遠慮してもらわなくッちゃならねえようだ。人間は近所合壁《きんじょがっぺき》、いっしょに住む。なア、いかに好きな道でも、度をはず....
苦しく美しき夏」より 著者:原民喜
樹木の残映にふりむけたくなるのだ……。 今、あたりは奇妙に物静かだった。いつも近所合壁の寄合う場所になっている表の方の露次もひっそりとして人気《ひとけ》がなか....
三郎爺」より 著者:宮本百合子
…。 これにはさすがの女房も驚かないではいられない。大きな声で呼び立てたので、近所合壁の者が皆出て来る。出て来ては、皆度胆を抜かれる。 まるで、茹《ゆだ》っ....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
。自分以外の無機物、有機物を同化して、自己を増大し分裂すると同時に、その分裂した近所合壁の細胞同志に、お互いの感覚や意識を反射交感させ合う霊能までも一緒に持って....
文学の大衆化論について」より 著者:宮本百合子
家たちが、自身の内にある所謂文壇的、文学的関心以外の諸要素、家庭的な感情だとか、近所合壁への義理だとか、些細な日常利害だとかを、直ちに自身の中の民衆的なるものだ....
婦人と文学」より 著者:宮本百合子
してくだける波にさえ花は咲くものを、という思いを抱いている一葉にとって、そういう近所合壁にまじって遂にここに朽ち果て終る我が身かという不安は、追々新たな落つかな....
戯作者」より 著者:国枝史郎
纏っている。 「アッハハハハ」と先ず笑い、 「式服拝借致しやした。おかげをもって近所合壁年始廻りが出来やした。いや何式服というものは、友達一人持って居れば、それ....
越後獅子」より 著者:羽志主水
》な声がした。 火事だアッと怒鳴るか、怒鳴らぬに、蜂の巣を突ついた様な騒ぎで、近所合壁は一瞬時に、修羅の巷《ちまた》と化して了《しま》った。 悲鳴、叱呼《し....
随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
り、呼吸、その間の時間の経過、いちいちツボにはまっていて申し分なかったが、何より近所合壁どこへ行ってもらくだの死を喜ぶ人ばかり多いこと、いかにもらくだという男の....
寒中滞岳記」より 著者:野中至
何《いか》にあるべきかといささか心痛せしが、ここぞ勇を奮うべき時ぞと奮発し、幸い近所合壁はなし、ただ一人故障をいう者もなければ、それより昼夜の嫌《きら》いなく、....
黒田如水」より 著者:吉川英治
も少ないほど目につくきりょうであるために、まず細工場の大勢の者の口から、ひいては近所合壁も、 (あれは義妹ではあるまいよ) などと、あらぬ噂がなかなか高い。け....