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近景
「近景〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
近景の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
薄紫の富士山が、上段の夕空を背景にクッキリと聳え立ち、下段に目前五、六十|米突の
近景として一群の木立が一様に白緑色で塗り潰されていた。画面も小さく構図も平凡で絵....
「富士に就いて」より 著者:太宰治
を吐く。これも私の、無風流のせいであろうか。 私は、この風景を、拒否している。
近景の秋の山々が両袖からせまって、その奥に湖水、そうして、蒼空に富士の秀峰、この....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
は夢の様に淡く、秋の夕は紫に、夏の夕立後はまさまさと青く近寄って来る山々である。
近景の大きな二本松が此山の鏈を突破して居る。
此山の鏈を伝うて南東へ行けば、富....
「安重根」より 著者:谷譲次
の土手、ペンキ塗りの住宅、赤土の丘、牧場、松花江の水、踏切りなどのハルビン郊外。
近景は汽車の後方に流れるように飛び去り、遠景は汽車について緩く大きく廻る。車内は....
「写生紀行」より 著者:寺田寅彦
て材木などを積み込んでいた。右のほうのバックには構内の倉庫の屋根が黒くそびえて、
近景に積んだ米俵には西日が黄金のように輝いており、左のほうの澄み通った秋空に赤や....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
描き、その上になお遠き島を描く事である。 百里の距離を作るには日本画では、先ず
近景を描き、中景を描き、而して百里の先きを同じ大きさにおいて一幅の中に収めてしま....
「森の絵」より 著者:寺田寅彦
の空には玉子色の綿雲が流れて、遠景の広野の果の丘陵に紫の影を落す。森のはずれから
近景へかけて石ころの多い小径がうねって出る処を橙色の服を着た豆大の人が長い棒を杖....