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「近村〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

近村の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
多少の儲《もうけ》を見ようとしたから、前景気は思いの外《ほか》強かった。当日には近村からさえ見物が来たほど賑《にぎ》わった。丁度農場事務所裏の空地《あきち》に仮....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
き返った。 何しろ混雑の中で、余一人の力では此のうえ何うする事は出来ぬが、幸い近村の人も馳け附けて来たから、其の一人に番を頼んで置いて、余は遠くもあらぬロース....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
深田から離縁されて、それも元はおとよとの関係からであると評判され、二人の噂は再び近村|界隈の話し草になったので、家じゅう顔合せて弱ってる。おとよの父は評判のむず....
自叙伝」より 著者:大杉栄
ていたが、これは父の方にひまがなくって果されなかった。そして一、二度、一、二泊の近村への演習に連れて行かれた。 それと、幼年学校にはいる前に父からドイツ語を少....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
を握りました。 問屋場の役人――と云っても、これは武士ではありません。その町や近村の名望家が選ばれて幾人かずつ詰めているので、矢はり一種の町役人です。勿論、大....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ているはずであるが、なにぶんにも蛇吉という名がわずらいをなして、村内はもちろん、近村からも進んで縁談を申込む者はなかった。彼は村の者からも尊敬されている。うわば....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
敬されているばかりか、ここらの村医としては比較的にすぐれた技倆を持っているので、近村の者にも相当の信用をうけて、わざわざ遠方から彼の診察を乞いに来るものもあった....
餅のタタリ」より 著者:坂口安吾
ず顔がくずれるほど安心して、 「これは町の人の食う餅だ。むろん私の餅でもないし、近村の農家の餅でもない。なぜかというと、この餅は餅米のツブだらけで、粗製乱造の賃....
怪獣」より 著者:岡本綺堂
どかったが、今度のは更にひどい。こんな大暴れは三十年振りだとかいうくらいで、町も近村もおびただしい被害でした。S旅館もかなりの損害で、庭木はみんな根こぎにされる....
一老人」より 著者:犬田卯
まりに草履や笠を手づくりしている一人の老婆と、ささやかな呉服太物の包みを背負って近村を行商して歩いていた四十先きの女房の姿である。この二人のほか、誰もこの家には....
」より 著者:犬田卯
ような雨漏り吹き通しの校舎はよろしくない――立派な鉄筋コンクリート二階建の校舎を近村に誇ろうではないかというようなのが、村当局一般の意向でさえあるらしかった。 ....
甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
夜分のみ聞こえしが、後には昼夜を分かたず聞こゆるに至りしかば、このこと、いつしか近村の一大評判となり、人々みなこれを奇怪とし、実際にこれを聴かんと欲して、その家....
間人考」より 著者:喜田貞吉
時エタをナカマと呼んでいたことは自分らの幼時しばしば耳にしたところである。或る時近村の○○部落の者が素人芝居を催して普通民をも招待した。通例その幕明けに当っては....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
、あるいは一日間の旅行をなすものあり。例えば、朝より家を出でて同所の公園もしくは近村に遊び、晩に至りて帰るものありという。 西洋人は馬を買うには血統を正し、妻....
俗臭」より 著者:織田作之助
。元来彼等きょうだいの出生地、和歌山県有田郡湯浅村(現在湯浅町)は気性の荒いので近村に知られた漁村である。大袈裟にいって、喧嘩と博奕の行われない日はないといった....