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「近郷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

近郷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
だと云う事、彼の父が政党に関係して以来、多少は家産が傾いたが、それでも猶《なお》近郷《きんごう》では屈指の分限者《ぶげんじゃ》に相違ないと云う事、初子の父の栗原....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
れて、広い京の町に燕《つばめ》一羽の飛ぶ影もみえなかった。それが京ばかりでなく、近郷近国《きんごうきんごく》いずれもこの大旱《おおひでり》に虐《しいた》げられて....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
はいって見ておったのである。 「こんな立派な建築を雨晒しにして置くはひどいなあ、近郷に人のない証拠だ、この郡の恥辱だ、随分思い切ったもんだ、県庁あたりでもどうに....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
殿と呼んで尊敬していた。 そうしているうちに、ここに一つの事件が起った。それは近郷の滝沢という武士から七郎左衛門に結婚を申込んで来たのである。滝沢もここらでは....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
後の屏風巌を、舟後光に真似て、円座して……翁様、御存じでございましょ。あれは――近郷での、かくれ里。めった、人の目につかんでしゅから、山根の潮の差引きに、隠れた....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
同じ儀で、かような心嬉しい事はござりませぬ。なおかくの通りの旱魃、市内はもとより近郷隣国、ただ炎の中に悶えまする時、希有の大魚の躍りましたは、甘露、法雨やがて、....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
。家には、鳥屋というより、小さな博物館ぐらいの標本を備えもし、飼ってもいる。近県近郷の学校の教師、無論学生たち、志あるものは、都会、遠国からも見学に来り訪うこと....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
お爺さんが説ききかせてくださいました。『地元の里はいうまでもなく、三|里五|里の近郷近在からも大へんな人出で、あの狭い海岸が身動きのできぬ有様じゃ。往来には掛茶....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
頭目でもなし、戦死をした勇士でもない。きいても気の滅入る事は、むかし大饑饉の年、近郷から、湯の煙を慕って、山谷を這出て来た老若男女の、救われずに、菜色して餓死し....
良夜」より 著者:饗庭篁村
。父の名誉、伯父の面目、予のためには三条の町の町幅も狭きようにて、この所ばかりか近郷の褒め草。ある時、県令学校を巡廻あり。予が講義を聴かれて「天晴慧しき子かな、....
怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
火も残さず消して真の暗闇にするために、その間において、町の女達はいうまでもなく、近郷から集って来ている女達が、喜んで神秘のお蔭を蒙りたがるという、噂の虚実を確め....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
故郷にもちかえったしらせによると、イカバッド・クレーンはまだ生きており、彼がこの近郷を去ったのは、一つには悪鬼やハンス・ヴァン・リッパーがこわかったからであり、....
兄妹」より 著者:岡本かの子
れを選んで女学校卒業期に近い妹のため「お米」をおつきにすることにした。「お米」は近郷一の高位の令嬢のお付きになる光栄の日を待っているのであった。それが偶然途中で....
雪柳」より 著者:泉鏡花
……忘れもせんぞに、私が十三か四の頃や、洞斎兄さえ、まだ、尾山(金沢を云う。近国近郷の称呼。)の、あんたの家へ寄宿せぬさき、親どもに手を曳かれて、お城下の本願寺....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
いたから、淡島屋の軽焼は江戸一だという評判が益々高くなって、大名高家の奥向きから近郷近在のものまで語り伝えてわざわざ馬喰町まで買いに来た。淡島屋のでなければ軽焼....