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「近間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

近間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吉原新話」より 著者:泉鏡花
物干。一跨ぎで出られる。……水道尻まで家続きだけれども、裏手、廂合が連るばかり、近間に一ツも明が見えぬ、陽気な座敷に、その窓ばかりが、はじめから妙に陰気で、電燈....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
層強く思い出されます。勿論、小梅にいるあいだも毎日忘れたことはなかったのですが、近間へ戻ってくると又一倍にその執念が強くなって来ました。 三月末の陰った日に、....
新世帯」より 著者:徳田秋声
ことを、同じ村から出ている友達に相談してから、新吉はようやく談を進めた。見合いは近間の寄席ですることにした。新吉はその友達と一緒に、和泉屋に連れられて、不断着の....
」より 著者:徳田秋声
っていても頼りないようであった。お銀は惑わしいことがあると、よく御籤を取りに行く近間の稲荷へ出かけて行った。通りの賑やかなのに、ここは広々した境内がシンとして、....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
美い像だけは事実で。――俗間で、濫に扱うべきでないと、もっともな分別です。すぐに近間の山寺へ――浜方一同から預ける事にしました。が、三日も経たないのに、寺から世....
古狢」より 著者:泉鏡花
落の白い手を言出したのは、決して怪談がかりに娘を怯かすつもりのものではなかった。近間ではあるし、ここを出たら、それこそ、ちちろ鳴く虫が糸を繰る音に紛れる、その椎....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
随分と御遠方、わざわざ拾いにござらして、力を落す方がござりますので、こうやって近間に店を出しておりますから、朝晩|汐時を見ては拾っておきまして、お客様には、お....
南地心中」より 著者:泉鏡花
りだと云ったもんです。一度引いて、もうそんなに経ちますけれども、私あ今日も、つい近間で見て驚きました。 苦労も道楽もしたろうのに、雁金額の生際が、一厘だって抜....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
を取って立直った。 「所縁にも、無縁にも、お爺さん、少し墓らしい形の見えるのは、近間では、これ一つじゃあないか――それに、近い頃、参詣があったと見える、この線香....
犬神娘」より 著者:国枝史郎
その時声が聞こえましたっけ。―― 「ちょいと娘さん妾へおかしよ。……妾の方が近間だよ。……代わってお給仕してあげようじゃアないか」 綺麗な張りのある声でし....
多神教」より 著者:泉鏡花
赤蜻蛉じゃ、このちらちらむらむらと飛散る処へ薄日の射すのが、……あれから見ると、近間ではあるが、もみじに雨の降るように、こう薄りと光ってな、夕日に時雨が来た風情....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
能の天使の翼である。根岸へ入っては自然に背く、という哲人であったんですから、つい近間へも寄らずにいました。 郷里――秋田から微禄した織物屋の息子ですが、どう間....
三枚続」より 著者:泉鏡花
も人間が歩行きません。気のせいか、かッかッと燃える中に、木竹の折れる音もするほど近間で居て、それで何と私の跫音にばらばら蛙が遁げ込みます。水の音を聞くと一杯のん....
式部小路」より 著者:泉鏡花
て一番地獄の浄玻璃で、汝が面を見てくれましょうと思ったくらいでした。 すると、近間で、すりばんでしょう。私あ自分でどこに居たか知りませんがね、火の手はお宅様の....
星の世界から」より 著者:小川未明
て笛を造って吹いていました。すると、四|方から小鳥がそれを聞きつけ集まってきて、近間の木の枝に止まってその笛を自分らの友だちだと思っていっしょになってさえずって....