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「迷妄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

迷妄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
とができても、身体も心も抜き差しのならない自分の状態であってみればなおのことその迷妄を捨て切ってしまうこともできず、その結果はあがきのとれない苦痛がますます増大....
青木の出京」より 著者:菊池寛
かった。 六年憎み続けてきた青木、今ではもう、彼の天分を尊敬したことさえ一つの迷妄だと自分では思っている雄吉にとって、青木はなおある不思議な魅力と威圧とを持っ....
無名作家の日記」より 著者:菊池寛
とはよそう。作家としての生活以外に意義のある生活がないように思っていたのは、俺の迷妄だ。 俺はこの間、ヴェルレーヌの伝記を読んでいると、あのデカダンの詩人が晩....
錯覚自我説」より 著者:辻潤
うとしているのである。 自我とはなんぞや? 自我とは人間の錯覚より起った一つの迷妄である。一切は相対的である。宇宙は歪んでいる。エーテルは果して存在しているか....
演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
上昇して行くといった形において想像される。 このことは一見わらうべき精神主義的迷妄のごとくに誤解されるおそれがないでもないが、たとえば我々が実生活における幾多....
あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
かも知れない!……」 彼は虚言を吐きつづけて、のたれ死にする倫理学者のように、迷妄の境に彷徨《さまよ》うていた。 ――影佐が青沼へ物語った或小説の筋――....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
力に著しく接近してきて、われらをして科学的真理の価値の過重からきたる器械的見方の迷妄より免れしめ、新しくて、不思議の光に潤うたる瞳をもって自然と人生とを眺めしめ....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
るそうだ。今日も一日中御殿では、その評定で大騒ぎだった。困ったものだよ。こういう迷妄はな」 こいつを聞いた小一郎が、驚きと興味とを感じたのは、説明するにも及ぶ....
技術の哲学」より 著者:戸坂潤
組織に対して「純粋」であるような技術自体・「技術の本質」などというものは観念上の迷妄の外ではないということ、生産技術は事実、資本主義下に於けるものと社会主義下に....
現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
こうして決定して行くことが、初めて批判である、ということを。今日のわが国のような迷妄主義が時を得顔に横行している社会情勢は、さすがの観念哲学者田辺教授をしてさえ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
るにもかかわらず、迷いは、その叔母さんに俥賃を強請って北廓へ飛んだ。耽溺、痴乱、迷妄の余り、夢とも現ともなく、「おれの葬礼はいつ出る。」と云って、無理心中かと、....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
く排斥すべきである。同時に霊界を一の清浄無垢の理想境と考える事も、亦飛んでもない迷妄である。霊界は現界と同じく、玉石混淆の差別の世界で、寸刻の油断もできない。こ....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
に錯綜した妄念によって繋がれているのが人間である。人間はそこに罪深くも思想として迷妄世界を建立する。嗔恚と悔恨とが苛責の牙を噛む。 人間の霊はその迷妄世界をさ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
たる威力をそれとなく発揮しているものであります。 凡人の心は、苦難に際し、誘惑迷妄に際し、誠にぐらつきやすいものです。その凡心を以て――日常しなれた事をなすに....
日本歴史の研究に於ける科学的態度」より 著者:津田左右吉
学徒や文筆にたずさわっているものの一部にも、それに迎合追従し、またはみだりに虚偽迷妄な説を造作してそれを支持するものがあり、それがために学問的の研究が政治的権力....