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「迸出〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

迸出の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
合いよ、君らをして今夜天神橋上の壮語を聞かしめなば、肝胆たちまち破れて、血は耳に迸出《ほとばし》らん。花顔柳腰の人、そもそもなんじは狐狸《こり》か、変化《へんげ....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
徹底的に考える脳力のない男である。彼の結論の茫漠《ぼうばく》として、彼の鼻孔から迸出《ほうしゅつ》する朝日の煙のごとく、捕捉《ほそく》しがたきは、彼の議論におけ....
河明り」より 著者:岡本かの子
をもって、すぐ皮膚に圧触して来る濃い液体である。叢林は大地を肉体として、そこから迸出する鮮血である。くれない極まって緑礬の輝きを閃かしている。物の表は永劫の真昼....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
萄の果みたいな双の瞳である。そこからは智的な熱情が、まるで羚羊のような敏しこさで迸出してくるのだけれども、それにはまた、彼女の精神世界の中にうずくまっているらし....
四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
相違ない。 「助けてくれ助けてくれ!」 と破れた人間離のした嗄声が咽喉を衝いて迸出たが、応ずる者なし。大きな声が夜の空を劈いて四方へ響渡ったのみで、四下はまた....
探偵小説の正体」より 著者:夢野久作
るのだ。書く方も、そんな気で書き、読む方もそんな気で読んでいるのだ。 そこから迸出る血が、黒ければ黒いほど気持がよくて、毒々しければ毒々しいほど愉快なのだ。だ....
カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
部海水注入孔のバルブが開いて、真ッ白に泡立った海水が、恐しい唸を立てて船渠の中へ迸出し始めた。次いで径二尺五寸程の大きな下部注水孔のバルブも開いて、吸い込まれて....
「迷いの末は」」より 著者:宮本百合子
れほど沢山の浄瑠璃を書かざるを得なかった程、義理人情の枠を突破する現実の人間性の迸出《ほうしゅつ》を当時の社会にあって感覚したのである。 先頃来朝した戯曲家エ....
日本天変地異記」より 著者:田中貢太郎
て新島と名づく、其中五番島最大にして其周廻二十町、高さ六丈なり、草木発生し、水泉迸出す、於是寛政十二年閏四月、島(桜島)民六口を此島に移す」としてあって、大小こ....
池袋の怪」より 著者:岡本綺堂
鉄砲を空に向けんとする井神の真向に礑と中ったから堪らない、眉間は裂けて鮮血が颯と迸出る。この不意撃に一同も総立となって、井神は屈せず鉄砲を放ったが、空砲とは云い....
地震雑感」より 著者:寺田寅彦
殻を構成している多様な地層の重畳したものがある。それが皺曲や断層やまた地下熔岩の迸出によって生じた脈状あるいは塊状の夾雑物によって複雑な構造物を形成している。そ....
雪の宿り」より 著者:神西清
いる。宗純和尚(一休)がそれだ。あの人の風狂には、何か胸にわだかまっているものが迸出を求めて身悶えしているといった趣がある。気の毒な老人だ。だがその一面、狂詩に....
歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
表現の段階を一挙に飛躍せしめたのである。ところで、澆季芸術の上に、情熱の古代的|迸出を望むことは出来ない。我々の内生活を咄嗟に整理統一して、単純化してくれる感激....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
とに聴かしてほめられたいなどと考えたこともない。キャラコさんの場合、唱歌は一種の迸出作用で、小鳥における囀《さえずり》のようなものだといえよう。 三時ごろに、....