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追う
「追う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
追うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
《ゆきあか》りに見た相手の姿は、不思議にも雲水《うんすい》のようでしたから、誰も
追う者のないのを確かめた後《のち》、もう一度あの茶室の外へ、大胆《だいたん》にも....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
腕だるそうにそびえて、その間をさまよう放牧の馬の群れはそぞろに我々の祖先の水草を
追うて漂浪した昔をおもい出させる。原をめぐった山々はいずれもわびしい灰色の霧につ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
パイプを出して、ゆっくり埃及《エジプト》の煙をくゆらせながら、
「狄青が五十里を
追うて、大理《だいり》に入《い》った時、敵の屍体を見ると、中に金竜《きんりゅう》....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
しながら、「大久保武蔵鐙《おおくぼむさしあぶみ》」を読みつづけました。が、活字を
追う間《あいだ》に時々あの毛虫のことを思い出しました。……
僕の散歩に出かける....
「或る女」より 著者:有島武郎
》して、それは男向きの品物に違いないと決めてしまった。そして葉子の心は早熟の恋を
追うものだと断定した。そして恋というものを生来知らぬげな四十五六の醜い容貌《よう....
「或る女」より 著者:有島武郎
送金のたびごとに相変わらず長い消息が添えられて来た。木村の葉子に対する愛着は日を
追うてまさるとも衰える様子は見えなかった。仕事のほうにも手違いや誤算があって始め....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
して流れていた。彼れはじっとその戯《たわむ》れを見詰めながら、遠い過去の記憶でも
追うように今日の出来事を頭の中で思い浮べていた。凡《すべ》ての事が他人事《ひとご....
「二つの道」より 著者:有島武郎
なお初めの道を顧み、心の中に悶《もだ》え苦しむ人はもとよりのこと、一つの道をのみ
追うて走る人でも、思い設けざるこの時かの時、眉目《びもく》の涼しい、額の青白い、....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
れて、見るべき物もあらぬ橋の上に瞳《ひとみ》を凝らしつつ、その胸中は二途の分別を
追うに忙しかりき。 「これからとはあんまり早急じゃありませんか。まだお話したいこ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
やっぱり半分隠れたまま、 「滝ちゃんや、透さんは。」 「母様が出掛けるんで、跡を
追うですから、乳母が連れて、日曜だから山田(玄関の書生の名)もついて遊びです。平....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
船とその船とをつなぎ合わせ、半分がた凍ってしまった帆を形ばかりに張り上げて、風の
追うままに船を走らせた時には、なんとも言えない幸福な感謝の心が、おさえてもおさえ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
るのが可厭さに、いろいろに悩んだんだが、避ければ摺着く、過ぎれば引張る、逃げれば
追う。形が無ければ声がする……ピイピイ笛は攻太鼓だ。こうひしひしと寄着かれちゃ、....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
って来て、三人に床几を貸した古女房も交って立つ。 彼処に置捨てた屋台車が、主を
追うて自ら軋るかと、響が地を畝って、轟々と雷の音。絵の藤も風に颯と黒い。その幕の....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
の、宝玉の錦が欲しいのであった。余りの事に、これは親さえ組留められず、あれあれと
追う間に、番太郎へ飛込んだ。 市の町々から、やがて、木蓮が散るように、幾人とな....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
時か久米の倨然たる一家の風格を感じたのを見ては、鶏は陸に米を啄み家鴨は水に泥鰌を
追うを悟り、寝静まりたる家家の向う「低き夢夢の畳める間に、晩くほの黄色き月の出を....