退ける[語句情報] »
退ける
「退ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
退けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
の六畳のほうに行った。そしてしばらく静かだった。と思うと、
「いや」
と小さく
退けるようにいう愛子の声が確かに聞こえた。抱きすくめられて、もがきながら放たれた....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
情がこみ上げて、Kの手を取り上げてなでてみたい衝動を幾度も感じながら、女々しさを
退けるようにむずかゆい手を腕の所で堅く組む。 ふとすすけた天井からたれ下がった....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
砂利の上へ飛び散っていた。 やがて「トントン」の屍骸をとりあえず線路の脇へとり
退けると、主任と博士は早速簡単な検屍をはじめた。が、間もなく主任は堪えかねたよう....
「画学校時代」より 著者:上村松園
の帰りに寄るとよい。参考を貸したり絵も見てあげるから」 私は悦び勇んで、学校が
退けると、東洞院錦小路の松年先生の塾へ寄り、そこで心ゆくまで人物画を描いたり見て....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
へ通勤することになっていた。それで申し合わせをして午後の五時ごろ、二人が勤め先を
退けるが早いか、距離から云ってほぼ等しい銀座裏のジニアという喫茶店で落合い、そこ....
「古狢」より 著者:泉鏡花
たんですね。」 「幽霊を。」 「もう私……気味が悪いの、可厭だなぞって、そんな押
退けるようなこと言えませんわ。あんまり可哀想な方ですもの。それはね、あの、うぐい....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
や。) とその容子だもの、お前さん、何だって構やしません。――お手軽様に言って
退けると、口に袖をあてながら、うっかり釣込まれたような様子でね、また前後を視まし....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
上の熱や光りではとても温めることも出来ず、また彼の眼に沁み込んだ、その常闇を払い
退けることが出来ないのだと思って、やれやれと溜め息をつきながら行ってしまうのであ....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
けってところあるでしょう。 ――待ち給え。 逸作は一寸腕を扼してかの女を払い
退けるようにして読み続けた。 ――ねえ、ママの抒情的世界を描きなさいって書いて....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
うとしますと、変な声を出して、 寄らっしゃるな、しばらく人間とは交らぬ、と払い
退けるようにしてそれから一式の恩返しだといって、その時、饅頭の餡の製し方を教えて....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
明けたなら、屹度相談に乗って呉れるかも知れない……。 そこで雄太郎君は、学校が
退けると早速青山喬介を訪ねて行った。 「あの事件は、もう解決済みじゃなかったかね....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
は大概の場合にも茶番気が付いて廻っていて、それをしかも滑稽にせず、真面目に遣って
退けるのであった。 泰雲、頭巾を取って、頭を出すと、七三郎、拳骨の先に唾を付け....
「橋の上」より 著者:犬田卯
もあった。 だが、圭太はその時立ち上っていた。さぶちゃんやその手下のものを払い
退けるようにして再び渡り出した。 彼はもう前後左右も、青い渦巻く流れも、大空も....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
いと退く。……端折った白脛を、卯の花に、はらはらと消し、真白い手を、衝と掉って押
退けるようにしたのです。芋を石にする似非大師、むか腹を立って、洗濯もの黒くなれと....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
のです。それを、柳に濡色な艶々と黒いのを、みしと蹈んで、突立ったのが、あと足で蹴
退けると斉しく、 「誰だ、何が、誰だとは人間に向うてよういうた、にい。畜生のくせ....