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「退る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

退るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
こった、良人が手を支いてものを言う大切なお嬢さんを、とお蔦はただそれだけでさえ引退る。処へ、幾条も幾条も家中の縁の糸は両親で元緊をして、颯さらりと鵜縄に捌いて、....
朱日記」より 著者:泉鏡花
助。 その婦人が、今朝また、この学校へ来たんだとな。」 源助は、びくりとして退る。 「今度は運動場。で、十時の算術が済んだ放課の時だ。風にもめげずに皆駆出す....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
手にならず、待合申すまでも無い、辞退。席貸をと思いましたが、やっぱり夜一夜じゃ引退るんです。第一、人数が二十人近くで、夜明しと来ては、成程、ちょっとどこといって....
天守物語」より 著者:泉鏡花
として進む。瞳を定めて、夫人の姿を認む。剣夾に手を掛け、気構えたるが、じりじりと退る。 夫人 (間)誰。 図書 はっ。(と思わず膝を支く)某。 夫人 (面のみ振....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
死ね!(と云うまま落したる利鎌を取ってきっと突つく。) 鉱蔵 わあ。(と思わず退る。) 晃 死ね、死ね、死ね、民のために汝死ね。見事に死んだら、俺も死んで、そ....
錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
した。 七左 ははっ、奥さん。(と倒になる。) 撫子 (手を支えたるまま、つつと退る。) 村越 父、母の御懇意。伯父さん同然な方だ。――高原さん……それは余所の....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
恋人がおわしてな、雲霧を隔てても、その御足許は動かれぬ。や!」 と、慌しく身を退ると、呆れ顔してハッと手を拡げて立った。 髪黒く、色雪のごとく、厳しく正しく....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
の名家が屹と居直る。 瞳の動かぬ気高い顔して、恍惚と見詰めながら、よろよろと引退る、と黒髪うつる藤紫、肩も腕も嬌娜ながら、袖に構えた扇の利剣、霜夜に声も凜々と....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
ておったもんだでの。」 白鷺はやがて羽を開いた。飛ぶと、宙を翔る威力には、とび退る虫が嘴に消えた。雪の蓑毛を爽に、もとの流の上に帰ったのは、あと口に水を含んだ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
は荷高似内、口をへの字に頤の下まで結んで鼻を一すすり、無念の思入で畳をすごすごと退る処は、旧派の花道の引込みさ。」 「三枚目だな、我がお京さんを誰だと思うよ、取....
黒百合」より 著者:泉鏡花
士耳打をするのがあり、尻を突いて促すのがあり、中には耳を引張るのがある。止せ、と退る、遣着けろ、と出る、ざまあ見ろ、と笑うやら、痛え、といって身悶えするやら、一....
多神教」より 著者:泉鏡花
小児二 少しこわいなあ。 いい次ぎつつ、お沢の落葉を掻寄する間に、少しずつやや退る。 小児一 お正月かも知れないぜ。この山まで来たんだ。 小児二 や、お正月は....
山吹」より 著者:泉鏡花
い、ぶらりと提げ、じりじりと寄る。その縄、ぶるぶると動く。) 夫人 ああれ。(と退る。) 人形使 (ニヤリと笑う。) 夫人 ああ蛇かと思った。――もう蛇でも構わ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
飜えしてどんと突くと、 「おッ、」と喚いて、お夏の腕を捻っていたのが手を放して飛退ると、袖が断れたか、とぐいと払って、お夏はいま一人を振放して、つつと月影に姿を....
註文帳」より 著者:泉鏡花
へ、自転車一輛、またたきする間もあらせず、 「危い、」と声かけてまた一輛、あッと退ると、耳許へ再び、ちりちり! 土手の方から颯と来たが、都合三輛か、それ或は三....