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「退却〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

退却の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
もに、自分に対する一種の腹立たしさを感じながら、とうとうこの好人物の愛読者の前を退却すべく、おもむろに立ち上がった。が、平吉は彼の気焔によってむしろ愛読者たる彼....
十円札」より 著者:芥川竜之介
へ収めるが早いか、そこそこ辞書《じしょ》や参考書の並んだ書棚《しょだな》の向うへ退却した。あとにはまた力のない、どこかかすかに汗ばんだ沈黙ばかり残っている。保吉....
路上」より 著者:芥川竜之介
先だから、初子《はつこ》と新田《にった》とを後に残して、うす暗い廊下《ろうか》へ退却した。と、そこには辰子《たつこ》が、途方《とほう》に暮れたように、白い壁を背....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ば救われるのである。この時期に多種の動物や植物は絶滅したが、その後間もなく寒冷が退却したときに、その期間中に発達しあるいは生き残っていたような新しい形態のものが....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
たために、そこに無理があった。従ってナポレオン軍の後方が危険となり、遂にモスコー退却の惨劇を演じて、大ナポレオン覇業の没落を来たしたのである。ロシヤを護った第一....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
じったら、また、もう少しかけ隔った別な店へ移るのだろう。はたから見ると、だんだん退却して行くありさまだ。吉弥の話したことによると、青木は、かれ自身が、 「無学な....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
の特別大演習があった時の事だったが、演習もいよいよ峠が見えて来た四日目。場所は、退却を余儀なくされている青軍の最前線にあたる土佐湾の南方五十|浬の洋上だった。 ....
海底大陸」より 著者:海野十三
ったので、それに来られてはこまるからというので、このおどかしの手紙で、われわれを退却させるつもりなんですよ。だまされてはいけません」 「そうだろうか。ぼくはむし....
田端日記」より 著者:芥川竜之介
地にアセチリン瓦斯をともして、催眠術の本を売っている男がある。そいつが中々|※々退却した。こっちの興味に感ちがいをする人間ほど、人迷惑なものはない。 家へ帰っ....
戦話」より 著者:岩野泡鳴
に、そこから敵の砲塁までは小川もなく、樹木もなく、あった畑の黍は、敵が旅順要塞に退却の際、みな刈り取ってしもたんや。一歩踏み出せば、もう、直ぐ敵弾の餌食は覚悟せ....
怪塔王」より 著者:海野十三
残念だが引きかえそう」 と、帆村は無念そうにいいました。 「おじさん、やっぱり退却するの」 「うん、どうも仕方がないよ。折角鍵まで用意してきたけれど、これじゃ....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ったが、程もあらせず、ざわざわざわと、落葉を鳴らして落来るばかりに引返して、 「退却……」 「え、安達ヶ原ですか。」 と聞く方が慌てている。 「いいえ爺さんです....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
うちくだきもしなかったということだった。じっさい、彼の進出はほかの恋敵にとっては退却せよという信号であり、だれも鎧をつけたライオンの恋路を邪魔しようなどとは思い....
」より 著者:犬田卯
つかみ、大上段に振りかぶり、きっと二人を睨み据えた。二人の役人は検印もそこそこに退却してしまった。 改めて瘤礼讃の一席を弁じた男を考えた田辺定雄は、今やその「....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
小部隊を支分して小戦に依り敵の背後連絡線を遮断し、また倉庫を奪い、戦わずして敵を退却せしむる事に努力する。敵の要塞に対してはその守備兵を他に牽制し、要すれば正攻....