退嬰[語句情報] »
退嬰
「退嬰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
退嬰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
、鉄と石炭との独立を全うすることが出来ない。のみならず、日本は北支那より退却し、
退嬰自屈の政策の下に、国運の日に淪落に傾くことを如何ともなし能わざるに至るであろ....
「惜別」より 著者:太宰治
らしく、慶長十八年すでに支倉六右衛門常長を特使としてローマに派遣して他藩の保守|
退嬰派を瞠若させたりなどして、その余波が明治維新後にも流れ伝っているのか、キリス....
「俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
文化に滲透しているのは人の知るところである。 しかし本来の風雅の道は決して人を
退嬰的にするためのものではなかったと思う。上は摂政関白武将より下は士農工商あらゆ....
「蒸発皿」より 著者:寺田寅彦
ない自由の境地を愛する人とがある。この甲型の人の目から見ると乙型の人間は消極的|
退嬰的な利己主義者に見える。しかし乙はその自由のためにかえって甲の先をくぐって積....
「俳句の精神」より 著者:寺田寅彦
びの真髄ではあるまいか。 俳句を修業するということは、以上の見地から考えると、
退嬰的な無常観への逃避でもなければ、消極的なあきらめの哲学の演習でもなく、またひ....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
は無い。特《こと》に秀吉の軍略に先手先手と斬捲《きりまく》られて、小田原の孤城に
退嬰《たいえい》するを余儀なくされて終《しま》って居る上は、籠中《ろうちゅう》の....
「現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
のは、世界の歴史に逆らうもので、之こそ今日の反動家だ、と云わぬばかりである。保守
退嬰・因循姑息は進取積極・勇邁果敢・等々(其の他一ダースのそうしたもの)による気....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
とだんだん恩給を増す式を、我が店員の場合に当てはめて見ると、明らかに彼らの気持を
退嬰的にすることは事実である。店員はこの恩給を棒にふるのもなんだからと、恩給を逃....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
珠太郎を魅さないでは置かなかった。で二人は恋仲となった。 珠太郎は名古屋という
退嬰的の都会の、老舗の丸田屋の箱入り息子なので、初心で純情で信じ易かった。お小夜....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
圧迫感が、日々に刻々とたかまっていったのである。 しかし、墺海軍は依然として、
退嬰そのもののごとく自港の奥に潜んでいた。三隻単位を捨てて、五隻単位主義を採択し....
「『十八時の音楽浴』の作者の言葉」より 著者:海野十三
をする小説を悦んで読むであろうか。そう考えると、今日のように保守的といわんよりは
退嬰的な、そして勉強の足りない編集方針を延長していったのでは、必ず早晩大きな破綻....
「二・二六事件に就て」より 著者:河合栄治郎
しファッシズムに対抗する一点に於ては、彼等は吾々の老いたる同志である。動もすれば
退嬰保身に傾かんとする老齢の身を以て、危険を覚悟しつつその所信を守りたる之等の人....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
出せない不器用さが口惜しかった。ワルトンに先手を次ぎ次ぎに打たれて勢いジョーンは
退嬰的にばかりなった。三人で散歩するにも活動を見物に行くにも、何もかも、ジョーン....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
も押し流されて行く、其処に人生の味があるのだと思うようになってしまったことです。
退嬰を悲しむうちはまだ脈があります。
退嬰を詩に味わうようになったらおしまいです」....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
家であるロリス・メーリコフの手に帰した時代で、まさしく幻滅と萎靡と沈滞と無目的と
退嬰と窒息……等々にとざされた灰色の時代であった。出口はない。――おそらくこの非....