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退役
「退役〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
退役の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「自叙伝」より 著者:大杉栄
できた。 東京に着くとすぐ、僕は牛込矢来町の、当時から予備か後備かになっていた
退役大尉の、大久保のお父さんを訪ねた。上京のたんびに僕はこの大久保のうちへ遊びに....
「琥珀のパイプ」より 著者:甲賀三郎
本物になって来た。私は交替時間に少し遅れて出て行くともう前の番の人は帰った後で、
退役陸軍大佐の青木進也と、新聞記者と自称する松本順三と云う青年との二人が、不完全....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
必要があった。吉左衛門と、隣家の金兵衛とが、二人ともそろって木曾福島の役所あてに
退役願いを申し出たのも、その年、万延元年の夏のはじめであったからで。 長いこと....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ては、あれが長い駅長生活の最後の時だった。同じ八月の二十九日には彼は金兵衛と共に
退役を仰せ付けられる日を迎えた。それぎり、ずっと引きこもりがちに暮らして来た彼だ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
おまんに仕えて来たことにもひそかな思いやりを寄せていた。二人はかつて吉左衛門らの
退役と隠居がきき届けられた日に、同じく木曾福島の代官所からの剪紙(召喚状)を受け....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
らこっちから這いこんできて、私はオソヨさんと抱きあって寝ているからオソヨさんが撃
退役でシッシッと猫でも追うように追うのがおかしくて堪らないけど、同じ男がくるのだ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
まって、匆々に寝床にもぐりこんだ。彼が一パイのんで戻ってくるまで、患家の使いを撃
退役にアンマをもみつづけてもらうのがいつもの約束であった。 仙友が戻ってきたか....
「烏瓜の花と蛾」より 著者:寺田寅彦
をいやがりこわがる人が多いようである。今から三十五年の昔のことであるが或る田舎の
退役軍人の家で大事の一人息子に才色兼備の嫁を貰った。ところが、その家の庭に咲き誇....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
を不安にしていたのである。 その一つは、荒田直人という、もう七十に近い、陸軍の
退役将校の顔であった。 この人は、中尉か大尉かのころに日露戦争に従軍して、ほと....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
輩中原庸彦中佐の戦死だ。中原君は三次中学校を出て、士官学校を経て軍籍にあったが、
退役して実業に就いていた。今次の支那事変に五十を過ぎる身で、自ら志願して出征し、....
「火の扉」より 著者:岸田国士
うね……」 「すべては、無条件降伏ということにあるのです。家内のおやじはご承知の
退役軍人ですが、私に腹を切れといゝます。私はそんなまねはせんという。そこで、絶交....
「接吻」より 著者:神西清
時のことだったが、彼らは或るコサック連隊の将校と一緒に、ちょうど今と同じ筆法で、
退役軍人だという或る地主の伯爵から、お茶に招かれたことがある。客あしらいのいい親....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
べきものではないと、思いかえして、堪忍をこらし、無事に其の時の用を弁じて間もなく
退役し、自ら禄を離れて、住所を広島に移して斗籌を手にする身となった……。 それ....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
ベルリン人類学協会のニューギニア探険に加わって、以来南海趣味にすっかり溺れこみ、
退役してニューギニア会社へきたのだ。スポーツマン、均斉のとれた羚羊のような肢体。....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
、暫らく前に死んだ或る海軍大将の家で、アドミラルハウスと呼ばれて居る。其の大将は
退役後此の軍艦形の家を造って毎日屋上の司令塔に昇り昔の海上生活を偲んだという話だ....