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退職金
「退職金〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
退職金の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野狐」より 著者:田中英光
は会社を馘になり、子供は四人もあった。インフレはたちまち激しくなり、六千円ほどの
退職金は三日ももたなかった。私は昔から文学志望だったけれど、その時は、資本主義社....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
延びて来て、そこでとぎれたままの大道路の横に、ちょぼちょぼとのこされた。そして、
退職金をくいはじめた。 家の前通りへ曲って来ると、道に一尾、ひろ子が名を知らな....
「権力の悲劇」より 著者:宮本百合子
場合、契約後一年――三年は全く支払わず、三年以上の分には多少弔慰金を出す。国鉄の
退職金、弔慰金の支払い方法にも非常なひらきがつけられているのだそうである。故人の....
「くちなし」より 著者:宮本百合子
約もしたのだそうである。 最近資本系統が代って、その技術家はやめることになり、
退職金を半分貰ったきりなので、愈々そのドックをやりはじめたいと、O・Tと交渉した....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
っており、胸のへんがげっそりくぼみをつくっていることにたいして気を留めなかった。
退職金で二カ月はぶらぶら出来ると考えた。別に絶対安静をしなければならないほどでは....
「悲しい誤解」より 著者:豊島与志雄
るだけ饒舌らせて、最後に承知してやった。どうせ、僕が首切られることは分っている。
退職金でも貰って、職場転換だな。」 馘首流行の時代だ。政府の方でも人員整理。民....
「新妻の手記」より 著者:豊島与志雄
が昔からの習慣なのだ。私の実家は貧しく、女学校の俸給はみな母へ渡していたし、ただ
退職金だけを貰って私は稼いできた。月千円の小遣では不足がちだった。 けれども、....
「擬体」より 著者:豊島与志雄
営状態は、今のところ、どうなっていますか。」 「赤字ですなあ。」 「それじゃあ、
退職金も出せませんか。」 五十過ぎた律儀な丸田は、妙な顔をして青木を眺めた。 ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
めた小金で居酒屋のような店をもったが、自分がのみつぶして失敗したという話である。
退職金にもらった金が、女中でも千円以下ではないから男は相当もらった筈で、小さな店....
「能面の秘密」より 著者:坂口安吾
んです。なんしろこちらへ御奉公してかれこれ三十七八年ですからね。よそはそれ以上の
退職金をだしますよ」 「そんなことを人の耳に入れなくたっていいじゃないか」 「自....
「烏恵寿毛」より 著者:佐藤垢石
まかした記憶もない。 だのに、食い詰めて、せっぱ詰まった。 会社をやめる時、
退職金を一万二千六百円貰った。大正の末年の、デフレの大不景気時代であったから、当....
「野宿」より 著者:山之口貘
失敗なのであった。父は、三十年近くも、第百四十七銀行に勤めていたのであるが、その
退職金を持って八重山に渡り、質屋を開業しながら祖父の面倒を見てやりたいとかねがね....