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退路
「退路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
退路の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「党生活者」より 著者:小林多喜二
はならない。私は「しるこ屋」に入ってゆっくり休み、それから帰ってきた。 私達は
退路というものを持っていない。私たちの全生涯はたゞ仕事にのみうずめられているのだ....
「渦巻ける烏の群」より 著者:黒島伝治
が悪く、負けそうだったので、持って帰れぬ什器《じゅうき》を焼いて退却した。赤旗が
退路を遮った。で、戦争をした。そして、また退却をつづけた。赤旗は流行感冒のように....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
陸奥に向けて急航して行った。やがて彼等は、大鳴門司令長官の前に立って、米国艦隊の
退路を絶つ機雷の敷設状況と、なお布哇攻略の機が如何に熟しているかを、審さに報告す....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
うまくやり過ごしたところで階段を下りて逃げだしたが、出口に頑張っていた山城刑事に
退路を絶たれ、逡ろぐところを追いすがった折井刑事に組みつかれ、そこで大乱闘の結果....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
の一曹長だったが、一九一六年の三月にタンガンイカ湖で敗れた。そのとき俺たちの隊が
退路にまよい、北へ北へといってヴィクトア・ニールにでた。それはもう話にならぬよう....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
が、海津城を尻目にかけ、わざと敵中深く入ると、信玄はまたそれを尻目にかけて、敵の
退路を断ってしまったわけである。 実に痛快極まる両将の応酬ぶりである。 かく....
「長篠合戦」より 著者:菊池寛
よいよ評定に入るや、かの好漢忠次真先に、鳶ヶ巣以下の諸塁を夜襲し、併せて武田勢の
退路を断たんことを提議した。信長、迂愚の策を、上席に先んじて口に出したと、怒って....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
する部下の将校をピストルで射殺した。 山東兵は、南は、北伐軍に圧迫された。北の
退路は、張督弁にふさがれていた。で、立往生をした。その一部は、やむを得ず途中で脇....
「前哨」より 著者:黒島伝治
た。 彼は、能う限り素早く射撃をつゞけて、小屋の方へ退却した。が、犬は、彼らの
退路をも遮っていた。白いボンヤリした月のかげに、始め、二三十頭に見えた犬が、改め....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
、最後の突撃に移った。あたりはもう暗い。諏訪方ではすでに浮き腰になるもの、後方の
退路を危ぶむものが続出した。その時はまだまだ諏訪勢の陣は堅く、樋橋に踏みとどまっ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の方へと、飛ぶが如くに押し寄せて行きます。その背後は一|帯の深い沼沢で、何所へも
退路はありませぬ。もうほんの一と煽りですべては身の終り……。そう思うと私はわれを....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
て、二人のほうへ押し寄せて来た。結局紋也とお粂との二人は、前後腹背に敵を受けて、
退路を断ち切られてしまったのである。
「やられた!」という心持ちは、この時の紋也....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
を降りてその一番下に陣取った。そこはドーブレクの室と玄関の中間に位するので、敵の
退路はかくして完全にたたれた訳だ。 暗黒裡の不安がひしひしと身に迫る! ドーブ....
「イプセン百年祭講演」より 著者:久保栄
地を見出せなかったエゴイストであります。ブランドが「全か無か」を標榜して、いつも
退路を断ちながら進んだのに反して、ペエルは、いつでもうしろのドアを明け放しておく....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
却の止むなきに至った。墺軍はこれに追尾し来たり、九月三十日ゾール附近に於て大王の
退路近くに現出した。大王はこれを見て果敢に攻撃を行ない敵に一大打撃を与えたけれど....