退転[語句情報] »
退転
「退転〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
退転の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
イ》とあの山高帽《やまたかぼう》とに身を固めて、ドン・キホオテよりも勇ましく、不
退転の訳読を続けて行った。しかし先生の眼の中には、それでもなお時として、先生の教....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
っている刀のうちでも、これを最も秘蔵の業物《わざもの》としていたので、去年故郷を
退転する時にも余の刀はみんな手放してしまって、籠釣瓶だけを身につけて来たのであっ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の渡り中間なんぞは格別、かりにも侍と名の付いている用人や家来たちが、あと構わずに
退転してしまうというのは、どうも面白くねえようだ。だが、おまえさんが自分でかたき....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
したまま悠々と出てきたが、さすがに、後を追うて来るものはなかった。その足で、すぐ
退転いたしたが、もう二十年に近い昔じゃ。今から考えると短慮だったという気もするが....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
くこの苦々しい悒鬱を知っている。それは人間が辛うじて到達し得た境界から私が一歩を
退転した、その意識によって引き起されるのだろう。多少でも愛することの楽しさを知っ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の幽霊が出るのという評判、とうとう店を張り切れなくなって、さすがの旧家もどこへか
退転してしまいました。伊豆屋の方は無事に商売していましたが、これも維新後にどこへ....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
でも一粒種、いい月日の下に、生れなすったんですけれど、廃藩以来、ほどなく、お邸は
退転、御両親も皆あの世。お部屋方の遠縁へ引取られなさいましたのが、いま、お話のあ....
「水の女」より 著者:折口信夫
たことが行われた後に、やっと、記録に適当な――あるものは、まだ許されぬ――旧信仰
退転の時が来た。奈良朝の記録は、そうした原形・原義と、ある距離を持った表現なるこ....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
細くも身ひとつで東京へ出て来て、まず小石川へたずねて行くと、その人はとうにそこを
退転してしまって、そのゆくさきも判らなかった。さらに四谷をたずねると、これも行く....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
多助の家にまつわる怪談で、二代目と三代目の主人が狂死を遂げ、さしもの大家もついに
退転するという一件であった。 成程それは面白そうであるから、それを材料にして一....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
これはよく知っていました。 蔦屋は、若主人――お米さんの兄――が相場にかかって
退転をしたそうです。お米さんにまけない美人をと言って、若主人は、祇園の芸妓をひか....
「有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
細くも身ひとつで東京へ出て来て、まず小石川へたずねて行くと、その人はとうにそこを
退転してしまって、その行く先も判らなかった。さらに四谷をたずねると、これも行くえ....
「役者の一生」より 著者:折口信夫
はないかと思う。 結局田之助や菊五郎の影響を受けたことが、源之助を運命的に芸質を
退転させた。とまれ源之助は、生世話物の調子のよさでは、近頃第一の人であろう。声は....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
してお探し申して居りました』 蓮如『ふむ、それは気の毒とも何ともはや、さては信心
退転でもいたしたか』 おくみ『
退転どころではござりませぬ。父母に死なれたたった一....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
愛吉が知っていたんだね。…… お夏さんは人知れず、あの気象には珍らしい、豪家が
退転をするというほどの火事の中でも、両親で子の大事がる雛だけ助けたほど我ままをさ....