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退避
「退避〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
退避の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「薄明」より 著者:太宰治
負い、共に敷蒲団《しきぶとん》一枚ずつかかえて走った。途中二、三度、路傍のどぶに
退避し、十|丁《ちょう》ほど行ってやっと田圃に出た。麦を刈り取ったばかりの畑に蒲....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
て行った。が自分の頭が階子段から、ぬっと一尺ばかり出るや否や、この決心が、ぐうと
退避《たじろ》いだ。 胸から上を階子段の上へ出して、二階を見渡すと驚いた。畳数....
「明暗」より 著者:夏目漱石
ないせいだか何だか、急に気味の悪い心持を彼に与えた。しかし彼は叔母に対して少しも
退避《たじろ》ぐ気はなかった。
「これでもいざとなると、なかなか真面目《まじめ》....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
発とが、とても人力によってふせぎ切れるものでないことを見てとると、艇員たち全部の
退避をすすめた。 艇長ゲーナー少佐は、沈着な責任感の強い軍人だったので、隊長テ....
「金属人間」より 著者:海野十三
の部屋の爆発危険《ばくはつきけん》をかんじて、あなたがた係官を隣室《りんしつ》へ
退避《たいひ》させた。そしてじぶんひとり、あの部屋にのこった。博士のこの落ちつき....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いる金椎少年が、一心に行手の海に向って祈っている。他の者ならば、人の気配を感じて
退避すべき場合も、この少年には響かない。駒井もまた、茂太郎の出鱈目《でたらめ》の....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
うにして、便所へ行った。廊下から、そッと庭へとび降りた。 庭の奥の繁みまで一応
退避して、建物の全貌をメンミツに頭へ入れる。奏楽はマン幕をはりめぐらした中央の座....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
心も遊興街、温泉旅館街で構成さるべきであり、風教上よろしくないと思う人が、郊外へ
退避すればよろしいのである。 だいたい伊東というところは、団体客専門の旅館ばか....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
い、敵機頭上通過、大丈夫、出て来い、燃えよっぞ」とか、「また来たぞ、落としたぞ、
退避、危ないぞ」とか、いちいち叫んで、指導した。 「がんばれよ」と、私は礼を返し....