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送り狼
「送り狼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
送り狼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
は途中で道を間違えるに違いないしと。西山、貴様はまた天からだめだ。気まぐれだから
送り狼《おおかみ》に化けぬとも限らんよ。おたけさん、まあ一番安全なのは小人森村で....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いていねえとどんな間違いが起るかも知れねえ」 まずこう嚇して置いて、彼は無理に
送り狼になろうとすると、女は別に拒《こば》みもしないで、黙って彼に送られて行った....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
っぱり」と、言葉すくなに折竹をみる……その顔には言外の恐怖があった。 まるで、
送り狼のような「フラム号」の出現。それに、ルチアノやフローが乗っているかどうかは....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
「父上。思わぬところで旧悪がバレましたな。ウフフ。では、どうぞお先に、うしろから
送り狼が五六匹狙うているようでござりますゆえ、ちょッと追ッ払ってから参ります」 ....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
。わっはっは。」 また、ひとりが、 「いや、じつに尤物《ゆうぶつ》! 拙者は、
送り狼の役を買って藤屋まで引っ返そう。」 下婢《げび》た笑いと揶揄《やゆ》のな....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
やがて静かにそのあとを音もなく歩んで来るのみです。 この二つの黒い物影は狼――
送り狼という。物を見れば、それが転ぶところまでついて来る。その物の転ぶを待って、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
で拝田村まで帰すのはかわいそうだ」 「ムク犬の代りをつとめるかな、犬の代りに狼、
送り狼」 地廻《じまわ》りの連中がこんなことを言い囃《はや》すものですから、お....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
りり》しい男の子が殿《しんがり》という隊形になりました。 しかしまた、これでは
送り狼を中に取囲んで歩き出したようなもので、一つあやまてば、二つとも一口に食われ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ちの虫のいどころによっては、事が起らないとも限らない。
こうして、お角さんは、
送り狼だか送りよた者だかわからない奴等に送られて、山王を目指して行きましたが、一....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
をはいて片膝を端折《はしょ》っている。抜け目がない体勢ではある。 「は、は、は、
送り狼というやつかな」 と前なる頭巾が、冷やかに笑いました。 「えッ」 少々仰....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
とより気づこうはずがない。一も二もなくお藤の投げた綱に手繰《たぐ》りよせられて、
送り狼と相々傘《あいあいがさ》、夢みるような心もちのうちにこの瓦町の家へ届けられ....
「日記」より 著者:宮本百合子
的の隔りがありすぎる。一致するとか云うことは、考えられもしないことでありながら、
送り狼のようにひっついて来られるのは、ほんとうに苦痛だ、たまらない。下らないこと....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
の娘の体に触れることが躊躇された。 「とにかく娘はおれに救いを求めたのだ。おれは
送り狼になりたくたい」 そう思ったので、小沢はもうサバサバした声で言った。 「....
「子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
圃を通り過ぎると、人家が又ちらほらと見えて来て、一軒の大きな家の前に着きますと、
送り狼のような男たちは二、三人さきへ駈け抜けて内へはいりました。六三郎はあとから....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
く。 虎口に似た湾外へ、寺船の帆はうすれ出している。しかも数十艘の舟手は、なお
送り狼のように、知夫の雉ヶ鼻へんまで尾行していた。 柵へもどった能登は、すぐ人....