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逃ぐ
「逃ぐ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
逃ぐの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「源おじ」より 著者:国木田独歩
面持《おももち》してゆるやかに歩みを運ぶ様《さま》は主人に叱られし犬の尾振りつつ
逃ぐるに似て異なり、彼はけっして媚《こび》を人にささげず。世の常の乞食見て憐れと....
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
めるか。卑怯者め」 「何の……」と、半九郎は哮《たけ》った。「そう言うおのれこそ
逃ぐるなよ」 彼は縁先から庭へ飛び降りると、源三郎もつづいて駈け降りた。 武....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
えもん》討ち取り、御宿越前《みしゅくえちぜん》をば野本|右近《うこん》討ち取り、
逃ぐる城兵の後を慕うて、仙波口より黒門へ押入り旗を立て、城内所々に火を放った。 ....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ぞ。主君の馬前に役立てなければならぬ命を、無用な意地立てで粗末に致すつもりかッ。
逃ぐる者は追わぬ。逃げたくば今のうちに早う逃げえいッ」 「………」 いずれもや....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
と、右門はさらに権右衛門夫妻に言い渡しました。 「わしの慈悲が肝に銘じたならば、
逃ぐるようなこともあるまいによって、流罪のおさばきが決まるまでこのまま当屋敷に起....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
早くその頸を絞めていることが判ったので、死んだ鶏は無論に取り返された。そうして、
逃ぐる間もなしに引き摺り倒されて、袋叩きの仕置に遭ったのである。武家に奉公してい....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
真似をして捨てたまへ、さて人の物申さば、呻きのみ呻き給へ、さて後に、いかにもして
逃ぐべき支度をして逃げ給へ、門を堅く鎖しておぼろけにて、
逃ぐべきやうなしと、委し....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
が植えた菖蒲ぞ、ぼろぼん、ぼろぼん、ぼろぼんのぼろぼん。 侍女等わざとはらはらと
逃ぐ、朱の盤五人を追廻す。 ぼろぼんぼろぼん、ぼろぼんぼろぼん。(やがて侍女に突....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
るのである。心萎びてしまう。招待日に紋付など着用して会場に立つ勇気さらに出でず。
逃ぐるが如く帰阪して残る半月を胃腸の手当てで暮す。こおろぎ鳴く。 十月、初秋の....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
にした時には、呆然、わが目を疑ったのである。偉なる哉、淳や、沈着海のごとく、その
逃ぐるや風も及ばず。 戦争中の石川淳は麻布の消防団員であった。警察へ出頭を命ぜ....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
敵するあたわず、大檣をまわり羅針盤の側を走り、船首より船尾に逃げ行きしが、もはや
逃ぐるところどこにもあらず、後よりは兇刃すでに肉薄するに、今はたまらず、身を跳ら....
「書記官」より 著者:川上眉山
野のほかに、まあ幾度聞いたとお思いなさる。という。またそのようなことを、と光代は
逃ぐるがごとく前へ出でしが、あれまあちょいと御覧なさいまし。いい景色のところへ来....
「迷信解」より 著者:井上円了
の猾知ある上に、その挙動のなんとなく人をして奇怪の念を起こさしむる風がある。その
逃ぐるにも、ときどき足をとどめて後ろをふりかえり見るがごときは、人に疑念を起こさ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
させむは、
面白からずや。
竦める脚して、
よろめき、
躓きつゝぞ来る。
われ等
逃ぐれば、
足引きて
跡よりぞ来る。
メフィストフェレス(立ち留まる。)....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
とんど全軍をウルムに包囲降伏せしめた。ナポレオンはドノー川に沿うてウインに迫り、
逃ぐる敵を追ってメーレンに侵入したが、攻勢の終末点に達ししかも普国の態度疑わしく....