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「逃場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

逃場の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
草枕」より 著者:夏目漱石
はむずかしい。まして立ち上がる湯気の、濃《こまや》かなる雨に抑《おさ》えられて、逃場《にげば》を失いたる今宵《こよい》の風呂に、立つを誰とはもとより定めにくい。....
戦場」より 著者:夢野久作
墟となるであろう。一方にヴェルダンが陥落してカイゼルの宮廷列車が巴里に到着する。逃場を失った聯合軍はピレネ山脈とアルプス山脈の内側で、悉く殲滅されるであろう。独....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
め切り、商人は皆戸を締める騒ぎにて町中はひっそりとなりましたが、藤新の亭主一人は逃場を失い、つくねんとして店頭に坐って居りました。さて黒川孝藏は酔払っては居りま....
大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」より 著者:宮本百合子
者だと云う話がある。真ギはわからないが、若し日本の社会主義者が本所深川のように、逃場もないところの細民を、あれほど多数殺し家をやき、結局、軍備の有難さを思わせる....
お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
ね、子供の内から頭を丸めてお経で育って来た人は別です。 私や貴女位の年から辛い逃場所にお寺をしたって一年と辛棒がなるもんですか。 きっと、貴女なんかは其の立....
昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
オン隊は、わずか三十分ほどの戦闘で、もう百輛近くも失ってしまった。 それでも、逃場《にげば》のないかれらは、気がちがった獣のように、わが陣地の前まで突撃しては....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
も雨戸を明けた。「賊だ、賊だ。」と叫ぶ声が甲から乙へと伝えられた。重太郎は哀れや逃場を失った。それでも彼は猶一方の血路を求めて、唯ある人家の屋根へ攀登った。茅葺....