逆毛[語句情報] »
逆毛
「逆毛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
逆毛の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「嘘」より 著者:渡辺温
だったのだろう! ……育ちのよい少年の如く殊の外気弱な井深君は胸を動悸させ乍ら、
逆毛立ってやわらかい草むらのように縺れ合っているお河童頭の後姿を見送った。 と....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
のいつも立っている窓の下の畳の一部は、トントンとやる度毎の足裏の摩擦でガサガサに
逆毛立ち、薬研のように穿くれていた。 二号室の男は、(断って置くが、患者が少く....
「無惨」より 著者:黒岩涙香
ア是で追々に分ります私しは此三筋の髪の毛を其通りして幾度も試してみましたが一本は
逆毛ですよ、是は最う死骸の握って居る所を其儘取ッて堅く手帳の間へ挿み大事にして帰....
「野球時代」より 著者:寺田寅彦
であろう。 「白熱せる神宮競技」。「白熱せる万国工業会議」。こういうトピックスで
逆毛立った高速度ジャズトーキーの世の中に、彼は一八五〇年代の学者の行なった古色|....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
つかみたいのだ。
ちもとの裏口からはいって行く。台所の若い男がくすりと笑った。
逆毛をたてた大きい耳かくしの髪がおかしいのかも知れない。流行と云うものは私には少....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
まるで、狼《おおかみ》が、いけ牲《にえ》に最初の一撃を与えようとして、牙を現し、
逆毛を荒立てたかのようである。
彼の息は、押え難く、荒《あら》らいだ。
「むう....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
国民の成長力は急速に、成熟と統一を遂げつつあったのである。けれども羽毛は一つ一つ
逆毛立っていた。彼女はすばらしく元気なのだった。彼女のあり余る生命力は、驚異に値....
「上海」より 著者:横光利一
弁が宮子の口に含まれると、次ぎ次ぎに参木の顔へ吹きつけられた。クションが長椅子の
逆毛を光らせつつ辷り出した。と、やがて、声をひそめて浮き上った彼女の典雅な支那|....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
がまだ蹌めいているうちに、彼の剣は、もう次の何ものかを待っている。彼の髪は、鷲の
逆毛のように立って、満山皆敵と観るもののようであった。 「…………」 果たして....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
きった好晴の日であったが、浪はかなり高かった。 舷から水玉のかかるたびに、鷹は
逆毛を立てて、凄愴な姿態を作った。今朝は、飼い馴れたこの鷹にも、戦気があった。 ....