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透
「透〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
透の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
52
往来の角《かど》に立っているポスト。ポストはいつか
透明になり、無数の手紙の折り重なった円筒の内部を現して見せる。が、見る見る前のよ....
「影」より 著者:芥川竜之介
は、ただ微風に戦《そよ》いでいる夾竹桃の植込みが、人気《ひとけ》のない庭の芝原を
透《す》かして見せただけであった。
「まあ、気味の悪い。きっとまた御隣の別荘《べ....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
ば》の底に、何か針の如く私の耳を刺すものがあるのに気がつきました。が、夕暗の中に
透《すか》して見ると、彼は相不変《あいかわらず》冷《ひややか》な表情を浮べたまま....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
るものがあった。
「負けですよ!」
オルガンティノは気味悪そうに、声のした方を
透《す》かして見た。が、そこには不相変《あいかわらず》、仄暗《ほのぐら》い薔薇や....
「河童」より 著者:芥川竜之介
。そのうちに足もくたびれてくれば、腹もだんだん減りはじめる、――おまけに霧にぬれ
透《とお》った登山服や毛布なども並みたいていの重さではありません。僕はとうとう我....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
まだこのお嬢さんと一度も顔を合せたことはない。それが今不意に目の前へ、日の光りを
透《す》かした雲のような、あるいは猫柳《ねこやなぎ》の花のような銀鼠《ぎんねずみ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
つつんで来るのを意識した。このかすかな梅の匂につれて、冴《さえ》返る心の底へしみ
透って来る寂しさは、この云いようのない寂しさは、一体どこから来るのであろう。――....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
行った。
そこは突き当りの硝子障子《ガラスしょうじ》の外《そと》に、狭い中庭を
透《す》かせていた。中庭には太い冬青《もち》の樹が一本、手水鉢《ちょうずばち》に....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
る時ではない。半三郎を家庭へ縛りつけた人間の鎖の断たれる時である。濁った朱の色を
透《す》かせた窓は流れ風にでも煽《あお》られたのか、突然がたがたと鳴り渡った。と....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
を覚ました時にはもう軒先《のきさき》の葭簾《よしず》の日除《ひよ》けは薄日の光を
透《す》かしていた。僕は洗面器を持って庭へ下り、裏の井戸《いど》ばたへ顔を洗いに....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
とう盗人のように、そっと家の中へ忍びこむと、早速この二階の戸口へ来て、さっきから
透き見をしていたのです。 しかし
透き見をすると言っても、何しろ鍵穴を覗くのです....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
可笑しかったことには赤木と俳談を闘わせた次手に、うっかり蛇笏を賞讃したら、赤木は
透かさず「君と雖も畢に蛇笏を認めたかね」と大いに僕を冷笑した。僕は「常談云っちゃ....
「初雪」より 著者:秋田滋
精根を涸らしてしまう、込み上げて来るその動揺をおさえようとするためなのであろう。
透き通るような白い指をその脣に押しあてた。 彼女は燕が幾羽となく飛び交っている....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ことにした。その中に次のようなのがある。 「磁気を電気に変えること。」 「金属の
透明なること。」 「太陽の光を金箔に通すこと。」 「二つの金箔を電気の極にして、....
「寡婦」より 著者:秋田滋
ぺッたりくッつけていた。身体にぴッたり合った年わかい女の猟人たちの羅紗服には雨が
透っていた。彼らはこうして、毎日夕がたになると、身心ともに疲れはてて館へ帰って来....