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「透かし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

透かしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
行《ゆ》く。 66 斜めに上から見おろしたベンチ。板を透かしたベンチの上には蟇口《がまぐち》が一つ残っている。すると誰かの手が一つそっ....
偸盗」より 著者:芥川竜之介
いでたちをしたものの姿が、次第にどこからか、つどって来た。おぼつかない星明かりに透かして見れば、太刀《たち》をはくもの、矢を負うもの、斧《おの》を執るもの、戟《....
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
さを教えなかった。少くとも本に学んだ以外の女の美しさを教えなかった。彼は日の光を透かした耳や頬《ほお》に落ちた睫毛《まつげ》の影をゴオティエやバルザックやトルス....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
。折からあの焚き捨てた芥火《あくたび》が、まだ焔の舌を吐いているそのかすかな光に透かして見ますと、小屋はどれよりも小さいくらいで、竹の柱も古蓆《ふるむしろ》の屋....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
はもう一度お蓮を捉《とら》えた。彼女はそこへ立ち止りながら、茶の間《ま》の暗闇を透かして見た。 「誰だい?」 「私。私だ。私。」 声は彼女と仲が好《よ》かった....
仙人」より 著者:芥川竜之介
めながら、片手で、しきりに髪を掻いている。顔は見えないが、どうやら李の心もちを見透かして、相手にならずにいるらしい。そう思うと、多少不快な気がしたが、自分の同情....
蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
た。僕等はいずれも腹這《はらば》いになり、陽炎《かげろう》の立った砂浜を川越しに透かして眺めたりした。砂浜の上には青いものが一すじ、リボンほどの幅にゆらめいてい....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
ショウウインドウ》から、大幅の光がさす中に、しっきりなく飛びまわる紙屑を、じっと透かして見た事もありました。実際その時はそうして見たら、ふだんは人間の眼に見えな....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
て、ちょっと伸上るようにして、戸に立つ男の肩越しに、皎とした月の廓の、細い通を見透かした。 駒下駄はちと音低く、まだ、からころと響いたのである。 「沢山出なさ....
海の使者」より 著者:泉鏡花
ない。あったにしても、こう人近く、羽を驚かさぬ理由はない。 汀の蘆に潜むか、と透かしながら、今度は心してもう一歩。続いて、がたがたと些と荒く出ると、拍子に掛か....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
沁みる木の葉の匂、鳥の羽で撫でられるように、さらさらと――袖が鳴った。 落葉を透かして、山懐の小高い処に、まだ戸を鎖さない灯が見えた。 小村さんが、まばらな....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
―ついでに言おう。形容にもせよ、章魚、太刀魚はいかがだけれど、烏賊は事実居た……透かして見て広小路まで目は届かずとも、料理店、待合など、池の端あたりにはふらふら....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
んで立ったのでは、此方の袖に隠れるので、路を対方へ。別荘の袖垣から、斜に坂の方を透かして見ると、連の浴衣は、その、ほの暗い小店に艶なり。 「何をしているんだろう....
歯車」より 著者:芥川竜之介
わりはじめた。同時に又右の松林はひっそりと枝をかわしたまま、丁度細かい切子硝子を透かして見るようになりはじめた。僕は動悸の高まるのを感じ、何度も道ばたに立ち止ま....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
善光寺様、お開帳。」とこう言うのである。 鉈豆煙管を噛むように啣えながら、枝を透かして仰ぐと、雲の搦んだ暗い梢は、ちらちらと、今も紫の藤が咲くか、と見える。 ....