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透ける
「透ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
透けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「京のその頃」より 著者:上村松園
京式な家ばかりだったので、お祭頃になると建具をとりはずしてしまって、奥の奥まで見
透ける部屋々々に、簾が掛かっており雪洞が灯されてい、その光は今の電灯などに較べる....
「食魔」より 著者:岡本かの子
の真中へ大切に滑り浮す。それは乙女の娘生のこころを玉に凝らしたかのよう、ぶよぶよ
透けるが中にいささか青春の潤みに澱んでいる。それは和食の鯛の眼肉の羮にでも当る料....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
ドよりも味がデリケートに色彩と光沢は七宝細工の如く美しい。あの紅色の羽根が青空に
透ける時、子供の私の心はうれしさに飛び上った。そしてあの胴体の草色と青色のエナメ....
「海豹島」より 著者:久生十蘭
りがそのまま凍りついて、死滅した月の表面のような冷涼たる趣きを呈し、十尋の底まで
透けるかと思われるほど透明で、ぞっとするような物凄い緑色をしていた。 私は孤独....
「夜の若葉」より 著者:宮本百合子
どっか空の奥でプロペラの顫える音がしている。目をつぶっていても瞼の裏はうす赤く
透けるようで睫毛がふるえる。桃子は去年の春ごろ、順助とこの芝生の上に臥ころんでい....
「旅愁」より 著者:横光利一
彼はこのような事は一度も見たことがなかった。うす靄の軽くかかった好天の日で、日に
透けると白蟻の翅は美しく薄緑に光った。まだ生れて以来使ってみたことのない翅と見え....