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「透徹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

透徹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
した。世人は氏の自殺に対して、病苦、家庭苦、芸術苦、恋愛苦或いはもっと漠然とした透徹した氏の人生観、一つ一つ別の理由をあて嵌めた。葉子もまた……だが、葉子には或....
雛妓」より 著者:岡本かの子
人生の寂しさを努めて紛らすために何か飄逸な筆つきを使う画家であった。都会児の洗練透徹した機智は生れ付きのものだった。だが彼は邪道に陥る惧れがあるとて、ふだんは滅....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
の鋭敏と官能のデリカシイとに鼻|蠢かす歯の浮くような文芸家はいるが、人生に対する透徹なる批判と、纏綿たる執着と、真摯なる態度とを持して真剣に人生の愛着者たらんと....
未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
設計にあたって、いたずらに気ばかり、はやってはいかん。機械化には、あくまで、冷静透徹《れいせいとうてつ》、用意周到、綿密にやらんけりゃいかんぞ。新戦車をもって敵....
紅玉」より 著者:泉鏡花
着きたる体にて、一ツの瓶の酒を玉盞に酌ぎ、燭に翳す。)おお、綺麗だ。燭が映って、透徹って、いつかの、あの時、夕日の色に輝いて、ちょうど東の空に立った虹の、その虹....
人造人間事件」より 著者:海野十三
異称を奉られ、人間ばなれのした智能を持った主と畏敬せられている彼だけあって、その透徹した考え方には愕くのほかない。たとえそれが科学的に実行できないことにしろ、彼....
火星の芝居」より 著者:石川啄木
青空を十里四方位の大さに截って、それを圧搾して石にするんだ。石よりも堅くて青くて透徹るよ』 『それが何だい?』 『それを積み重ねて、高い、高い、無際限に高い壁を....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
その突嗟、自分の心を緊張めた。「考えてはいけない考えてはいけない。無念無想、一念透徹、やっつけるより仕方がない」 で彼は自分の構えを、一層益※かたくした。場内....
「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能」より 著者:癋見鈍太郎
からね。しかもダーウィンの進化論や、アインスタインの相対性云々よりも、もっと深刻透徹した名原則をあらわす公式なのだからね。……まずお聞きやれ……こんなわけだ。 ....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
って脚色の上に少しも矛盾撞着を生ぜしめなかったのは稀に見る例で、作者の頭脳の明澄透徹を証拠立てる。殊に視力を失って単なる記憶に頼るほかなくなってからでも毫も混錯....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
で振向いた。――目は今……私の目にも見えない。」 言が途切れた。 「――鼻筋が透徹るように通って、ほんのりと歯と唇が見えた……それなりがっくりと髪も重そうに壁....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
よって現実をはなれて私の標的を純粋にし、日々のこまかなことにまでアイデアリズムを透徹したいためでございます。 個々のまことなる心の要求を絶対化しようとし、そし....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
言の方で、眼と唇辺に冷やかな微笑を寄せつつ黙して人の饒舌を聞き、時々低い沈着いた透徹るような声でプツリと止めを刺すような警句を吐いてはニヤリと笑った。 緑雨の....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
と自分とが結婚すべきか否かを、真理的に観察するのであります。信念は心を平静にし、透徹させます。俗諦を去って公平無私にします。そこで、鮮やかな判決がつけられるので....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
トーヴェン的血球から流れ出る河である。 *原注――ヴァルター・エンゲルスマン氏の透徹せる論文 Die Sonatenform Beethovens. Das G....