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「透見〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

透見の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
け正語よりも深刻で猛烈なものである。虫さえ厭《いと》う美人の根性《こんじょう》を透見《とうけん》して、毒蛇の化身《けしん》すなわちこれ天女《てんにょ》なりと判断....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
に隠れつつ、見えずに開く。 ぽかんと立ったのが極が悪い。 ああ、もう彼処から透見をなすった。 とそう思うほど、真白き面影、天女の姿は、すぐ其処に見えさせ給....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
返った。名ある女を、こうはいかに、あしらうまい、――奥様と云ったな――膝に縋った透見をしたか、恥と怨を籠めた瞳は、遊里の二十の張が籠って、熟と襖に注がれた。 ....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
ると、情ないじゃあないかえ。家へ入ろうとしちゃあ、いつでもさ。外戸の隙からそッと透見をして、小さな口で、(母様、父様家に居るの?)と聞くんだよ。 (ああ。)と返....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
う朝寝もしておられまいから、なるべく早く身じまいをして、出かけるだろう。その時に透見《すきみ》をして、有無《うむ》を言わさぬことだ。 「うむ、ここでは朝風呂をた....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
の扱でございましょう。 ああ、やれやれ、家へ帰ってもあの年紀で毎晩々々|機織の透見をしたり、糸取場を覗いたり、のそりのそり這うようにして歩行いちゃ、五宿の宿場....
星女郎」より 著者:泉鏡花
払って、其奴の片腕をばさりと落した。時に、巴旦杏の樹へ樹上りをして、足を踏張って透見をしていたのは、青い洋服の少年です。 お綾が、つかつかと屋根へ出て、狼狽え....
重兵衛さんの一家」より 著者:寺田寅彦
もないことであったと思う。ある日宅の女中が近所の小母さん達二、三人と垣根から隣を透見しながら、何かひそひそ話しては忍び笑いに笑いこけているので、自分も好奇心に駆....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
寞だか、あの、ひっそりと障子の鳴る音。カタカタカタ、白い魔が忍んで来る、雪入道が透見する。カタカタカタカタ、さーッ、さーッ、ごうごうと吹くなかに――見る見るうち....
雪柳」より 著者:泉鏡花
に柳町の折とては、着て肌を蔽うほどのものもなかった、肌襦袢とあれだけでは、襖から透見も出来なかったことなど聞き、聞き……地蔵菩薩の白い豆府は布ばかり、渋黒い菎蒻....
裸体談義」より 著者:永井荷風
何処《どこ》が面白かったと言えないくらいなもので、洗湯《せんとう》へ行って女湯の透見《すきみ》をするのと大差はない。興味は表看板の極端な絵を見て好奇心に駆られて....
古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
多く天平の異聞であるが、文芸としては弘仁の特性を現わしている。そのなかから天平を透見するのはかなり困難である。しかし岡本寺の尼が観音を愛慕する情や、行基に追随し....