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逐う
「逐う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
逐うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
え、かの女の夫の逸作の如く、 「君も若いうちに苦労したのだ。見遺した夢の名残りを
逐うのもよかろう」 斯うもかの女にもの分りよく云うであろうか。 君が行手に雲か....
「河明り」より 著者:岡本かの子
けて、若い事務員たちのダンスの相手をしてやっていたが、疲れた様子もなく、まだ興を
逐うこの僻地に仮住する青年たちのために、有り合せの毀れギターをどうやら調整して、....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
遠限りなくそれを輝かさんと欲せんには、まず公刑所の建物より、回教式の丈高き拱格を
逐うにあらん。吾、サントニアに来りてより、昔ゴーティア人の残せし暗き古荘に棲む。....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
なった。しかし、あなたの勝利は一時的なものと信じます。父よ! コンミニストは日を
逐うて、戦いの用意を整えている……」この悲痛な手紙を突きつけられた、裏切者、蒋介....
「死者の書」より 著者:折口信夫
とも知らぬ、習しである。春秋の、日と夜と平分する其頂上に当る日は、一日、日の影を
逐うて歩く風が行われて居た。どこまでもどこまでも、野の果て、山の末、海の渚まで、....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
を差しいれてこれを濁し、若者をここより追いやりつ、自己もまたあえぎあえぎその跡を
逐うて苦しき熱きさびしき旅路にのぼる。わが友の上にもこの事あり、わが読みし文の中....
「女難」より 著者:国木田独歩
は黙然として控え、今しもわが吹き終った音の虚空に消えゆく、消えゆきし、そのあとを
逐うかと思わるるばかりであった。 自分は彼の言葉つき、その態度により、初めより....
「煎じ詰めれば」より 著者:桐生悠々
知らず、甚しきに至っては、過去の伝統その物に囚われて、未来を予知し得ない。流行を
逐うこと唯その事を新体制として、真の新体制が未来の、少くとも来りつつある世界の大....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
突然母の旧いおつくりを思い出したのだった。すると、母の俤は母親がその時時の流行を
逐うて著ていた着物や、次から次へ変えた髪飾りに応じて変った顔をして泛んで来た。特....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
気と光との関係並びに反磁性の大発見をなした。 第一期に関する研究の大要を、年を
逐うて述べよう。 一八一六年に生石灰を分析して、その結果を「科学四季雑誌」に出....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
けが、時代を超えて残って居た訣なのである。此ように、幾百年とも知れぬ昔から、日を
逐うて西に走せ、終に西山・西海の雲居に沈むに到って、之を礼拝して見送ったわが国の....
「くぐつ名義考」より 著者:喜田貞吉
う漢字をあてられた我が本来のクグツは、平安朝大江匡房の頃には、一定の居なく水草を
逐うて移徙し、男は狩猟を主として傍ら各種の遊芸に従事し、女は美粧して婬を鬻ぐを業....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
て居ることになって居るから待遇は誠に好くするです。
どうも半開国俗の時の流行を
逐うことは意外なもので、其事が尊き辺まで達しまして一日私を招待することになった。....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
浪民のことを、昔は「うかれびと」と云っております。一定の居所を占めずして、水草を
逐うて常に転居している者がすなわち浮かれ人であります。またその浮かれ人の女の事を....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
もと必ずしも人形舞わしとは限らないものであった。彼らは一所不定の浮浪民で、水草を
逐うて便宜の地に小屋住まいをする。男は弓馬に長じて、狩猟を本職とし、また剣舞、弄....