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「途絶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

途絶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
子を相手にしながら、こう云う曲折を思い出したりした。お芳は長火鉢に手もかざさず、途絶え勝ちに彼女の兄のことや文太郎のことを話していた。彼女の言葉は四五年前のよう....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
も、耳は橋の上の二人の話を、じっと聞き澄まして居りますと、向うは人通りもほとんど途絶えた、日盛りの寂しさに心を許したのでございましょう。私の甥の居《お》る事なぞ....
」より 著者:芥川竜之介
窓際に立って外を見ていたのも、――おれの妻を、――房子を――」 彼の言葉は一度途絶えてから、また荒々しい嗄《しわが》れ声になった。 「お前だろう。誰だ、お前は....
星座」より 著者:有島武郎
見出すと、また窃《ぬす》むようにきょときょととあたりを見廻した。人通りはまったく途絶えていた。そこいらには煙草の吸殻や、菓子の包んであったらしい折木《へぎ》や、....
外科室」より 著者:泉鏡花
そこ》もか」 「え、君は」 「私も遁げるよ」と目を合わせつ。しばらく言《ことば》途絶えたり。 「高峰、ちっと歩こうか」 予は高峰とともに立ち上がりて、遠くかの....
高野聖」より 著者:泉鏡花
らくこりゃ白痴《ばか》のせいじゃて。 その時よ。 座が白けて、しばらく言葉が途絶《とだ》えたうちに所在がないので、唄うたいの太夫《たゆう》、退屈《たいくつ》....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
枝垂《しだ》れたようになって、折から森閑《しんかん》と風もない。 人通りも殆ど途絶えた。 が、何処《どこ》ともなく、柳に暗い、湯屋の硝子戸《がらすど》の奥深....
婦系図」より 著者:泉鏡花
と星がきらめいて、それから富坂をかけて小石川の樹立の梢へ暗くなる、ちょっと人足の途絶え処。 東へ、西へ、と置場処の間数を示した標杙が仄白く立って、車は一台も無....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
だ。 その後君からは一度か二度問い合わせか何かの手紙が来たきりでぱったり消息が途絶えてしまった。岩内から来たという人などに邂うと、私はよくその港にこういう名前....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
れど気が合って歩行き出した。坂を下りて、一度ぐっと低くなる窪地で、途中街燈の光が途絶えて、鯨が寝たような黒い道があった。鳥居坂の崖下から、日ヶ窪の辺らしい。一所....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
ちかでございましょう。小さな児が、この虫を見ますとな、旦那さん……」 と、言が途絶えた。 「小さな児が、この虫を見ると?……」 「あの……」 「どうするんです....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
、あの通り困ったものでござります。」 法師も言葉なく見送るうち、沖から来るか、途絶えては、ずしりと崖を打つ音が、松風と行違いに、向うの山に三度ばかり浪の調べを....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
しましょう。ほんとに、あの、ほんとに三味線は出来ませんもの、姉さん、」 と言が途絶えた。…… 「今しがたも、な、他家のお座敷、隅の方に坐っていました。不断では....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
指した方を、従七位が見返った時、もうそこに、宮奴の影はなかった。 御手洗の音も途絶えて、時雨のような川瀬が響く。…… 八 「そのまんま消えたがの....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
見える。……ふざけて、とぼけて、その癖何だか小憎らしい。 立寄る客なく、通りも途絶えた所在なさに、何心なく、じっと見た若い女房が、遠く向うから、その舌で、頬を....