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這
「這〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
這の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
もなく寄せて来る大震動の波に揺られて居りましたが、やっとその庇の下から土煙の中へ
這い出して見ますと、目の前にあるのは私の家の屋根で、しかも瓦の間に草の生えたのが....
「影」より 著者:芥川竜之介
朧げな光が、天啓のように彼の眼を捉《とら》えた。陳は咄嗟《とっさ》に床《ゆか》へ
這《は》うと、ノッブの下にある鍵穴《かぎあな》から、食い入るような視線を室内へ送....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
すと、実はもうその言《ことば》の中に傷《いたま》しい後年の運命の影が、煙のように
這いまわっていたのです。が、それは追々《おいおい》話が進むに従って、自然と御会得....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ました。雌の河童は逃げてゆくうちにも、時々わざと立ち止まってみたり、四《よ》つん
這《ば》いになったりして見せるのです。おまけにちょうどいい時分になると、さもがっ....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
う。風呂敷《ふろしき》に包んだ電燈は薄暗い光を落している。僕は床《とこ》の上に腹
這《はらば》いになり、妙な興奮を鎮《しず》めるために「敷島《しきしま》」に一本火....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
《かしら》を振って、許す気色《けしき》も見せなかった。
やがて寺の門の空には、
這《は》い塞《ふさが》った雲の間に、疎《まばら》な星影がちらつき出した。けれども....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
う》に、黒の紋附《もんつき》の羽織を着た坊主が一人、恭《うやうや》しく、彼の前へ
這って出た。顔を上げずにいるので、誰だかまだわからない。――斉広は、何か用が出来....
「女」より 著者:芥川竜之介
と何か思いついたように、薔薇の葉と花との隙間《すきま》をくぐって、一つの枝の先へ
這い上った。先には土いきれに凋《しぼ》んだ莟《つぼみ》が、花びらを暑熱に※《ねじ....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
すから、勿論火事などには間《ま》に合いません。のみならず半之丞は傷だらけになり、
這《は》うようにこの町へ帰って来ました。何《なん》でも後《あと》で聞いて見れば、....
「運」より 著者:芥川竜之介
ょう。そこで、娘は、折を計って、相手の寝息を窺《うかが》いながら、そっと入口まで
這《は》って行って、戸を細目にあけて見ました。外にも、いい案配に、人のけはいはご....
「狂女」より 著者:秋田滋
ばかりの赤ン坊を亡くしてしまったのだった。 死と云うやつは、一たびどこかの家へ
這入ると、それから後は、もうその家の入口をすっかり心得てでもいるように、すぐまた....
「初雪」より 著者:秋田滋
るのだった。いくら泣くまいとしても、やッぱり泪がわいて来た――。 そこへ良人が
這入って来た。妻が泣いているのを見ると、良人はびッくりして訊くのだった。 「一体....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ール町へはいると、普通の家と軒を並べた、大きなギリシャ式の建物がある。戸を開けて
這入ると、玄関の正面には大きな石の廻り階段があって、その左右に室がある。室には、....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
一条の街道がこれから村へかかろうとするあたりに、
這い込むような小さな家が一軒、道のほとりにたっていた。彼はむかしその家に住んでい....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
合、誰かが私を疑うだろうか。 八月十五日―― 誘惑! 誘惑が、私の身中を虫が
這うように、
這い※る。生きものが今死ぬという際に発する苦しそうな叫び声のような、....