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這い出る
「這い出る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
這い出るの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
まれるに足る。嬰児は屡※過って火に陥る、若しくは水に溺れる。そして僅かにそこから
這い出ると、べそをかきながら又匍匐を続けて行く。このいたいけな姿を憐れむのを自己....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
の中に横にクリあけられた井戸のようなもので、鉄扉を締められた入口のほかには蟻一匹
這い出る穴さえないのであった。その坑内に密閉されて火焔に包まれてしまった筈の峯吉....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
行がいよいよ明日に迫った前夜である。 大きい虫は獄屋の壁のすそを掘って、人間が
這い出るほどの穴をこしらえてくれた。彼はそこから抜け出して、一旦の命を生きのびて....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
霧、霧……」 と法水の手が、頸の廻りをかいさぐると、握った指の間から、すうっと
這い出るように海霧が遁れて行くのだが、さてそうして開いた掌には烟の筋一つさえ残ら....
「首頂戴」より 著者:国枝史郎
けれど、捕方の船に相違ない。海上でさえあの通りだ。陸上の警固は思いやられる。蟻の
這い出る隙間もない――ということになっているのだ」 「それに致しても」と赤川大膳....
「流行暗殺節」より 著者:佐々木味津三
う。ほかのところを盗まんで、しあわせじゃ。旦那によろしく……」 けろりとし乍ら
這い出ると、直人は、にやにや笑い乍ら出ていった。 四 うまく....
「お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
きながらお久美さんは両手をしっかり握り合わせて化石した様に夕闇の葉陰から音もなく
這い出る中に立って居た。 間もなく主屋に人声がざわめいて、 「お久美は一体ど....
「オンチ」より 著者:夢野久作
もあったろう。 もちろんその時には星浦警察署と町の青年の全員が工場の周囲を蟻の
這い出る隙もないくらい包囲していた。取調べには署長以下、警部と、部長と刑事の全員....
「巡査辞職」より 著者:夢野久作
せ、田の中に浮く数万の蛙《かわず》の鼻の頭を一つ一つに乾燥させ、地隙《ちげき》を
這い出る数億の蟻《あり》の行列の一匹一匹に青空一面の光りを焦点作らせつつジリジリ....
「冥土行進曲」より 著者:夢野久作
たが、騒がしい筈だ。狭い路地口には真黒い警官がつめかけていて、この家の周囲は蟻の
這い出る隙もないくらい厳重にとりかこまれているようである。例の用心棒連はその押し....