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這い寄る
「這い寄る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
這い寄るの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
を上げた。立ち上がろうとするのではあるが足が云うことを聞かないらしい。膝と両手で
這い寄るや、ひしと死骸を抱き締めた。 「草色の水干を着ている筈だ」城主は無表情に....
「十万石の怪談」より 著者:佐々木味津三
」 「許せ。許せ」 「俺もじゃ。せめて見送ろう!」 「よし行こう!」 左右から
這い寄ると、血に濡れ、朱に染みた二人はひしと力を合せて抱き合いつつ、よろめきまろ....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
た違った興味と理解とで、それらの作品に対していた。 するとある日の午後、西日の
這い寄る机の前にすわっている彼の目の前に、久しく見なかった葉子の瀟洒な洋装姿がい....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
郎は、晩秋の暁け方の巷《ちまた》を行く。
乳色の朝霧が、細い巷路《こうじ》を、
這い寄るように、流れて来る。まだ人通りは無い。何処もここもが、しいんとした静寂に....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
見るや、棒立ちの構えから瞬間背を低めて、またもやひだり足の爪さきに地をきざませて
這い寄る。それから再びソロソロと右足が……こうして道路を斜めに栄三郎をつめながら....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
たも猛然と揺り起こし、しかし、立ち上がる気力はなく両手を地に突き、栞の方へお浦は
這い寄るのであった。 「さては汝は、頼母様に、横恋慕をしてこのお浦から……」 ....
「平家蟹」より 著者:岡本綺堂
に、ようぞまいられた。これへ……これへ……。(檜扇にてさしまねけば、蟹は縁の下へ
這い寄る。)余の方々はなんとされた。つねよりも遅いことじゃ。 (上のかたの木かげ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
そうな白い煙りをふいていた。朝の寒さの身にしみて来た二人は黙ってその火のまわりに
這い寄ると、眇目の男も黙って鍋の煙りを眺めていた。 あたたかい粟の粥をすすって....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
突出していて、苔に包まれたる岩の面は卓子のように扁平であった。巡査は松明を片手に
這い寄ると、穴の奥から不意に一個の石が飛んで来た。石は松明に中って、火の粉は乱れ....
「胎内」より 著者:三好十郎
。近寄って来ると、殺すぞ! (低いが、しかしホントの殺気のこもった語気に、花岡は
這い寄るのをやめて、佐山の声の方をうかがっていたが、やがて、ガンドウを動かして、....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ていた。 しかも、梅軒だけに、彼は全力を向けていられなかった。――背後からも、
這い寄る敵を感じていた。 梅軒は、誇った。 鎖をしぼりながら、にゅっと歯で笑....