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「這入り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

這入りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
村に這入って来た博徒《ばくと》の群の噂をしていた。捲《ま》き上《あ》げようとして這入り込みながら散々手を焼いて駅亭から追い立てられているような事もいった。 「お....
一房の葡萄」より 著者:有島武郎
て先生を待っている所に走って行きました。 僕達は若い女の先生に連れられて教場に這入り銘々の席に坐りました。僕はジムがどんな顔をしているか見たくってたまらなかっ....
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
ウン僕はやってきた。汽車弁当で夕飯は済してきた」 「そうか、それじゃ君一寸風呂に這入り給え。後でゆっくり茶でも入れよう、オイ其|粽《ちまき》を出しておくれ」 ....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
胸に湧いた。それは外でもない、何となく家に這入《はい》りづらいと言う心持である。這入りづらい訣はないと思うても、どうしても這入りづらい。躊躇《ちゅうちょ》する暇....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
時伝説によって私は判断されずに、私が伝説を判断する。又私の理想は近々と現在の私に這入りこんで来て、このままの私の中にそれを実現しようとする。かくて私は現在の中に....
深夜の市長」より 著者:海野十三
リと顔を打ったのに驚いて、もすこしのことで悲鳴をあげるところだった。 家の中へ這入りこむと妙なもので、最前までの気持とはガラリと変り、いやに気が落着いて来た。....
国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
ら下げ、白いキッチン・キャップを被っていた。どうやら留吉の紹介でこのコック部屋へ這入りこんだものらしい。それはどこからみても、コックでしかなかった。椋島は料理の....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
欺くような明るい灯がついていた。だが、暗黒恐怖症の市民が、後から後へと、ドンドン這入りこんでいて、見動きもならぬ混雑だった。 「ここん中へ入っとれば、爆弾なんか....
デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
、底深い好奇的な魅力に誘われた私は、喬介に従って六階へ降りた。其処で私は電話室に這入り、新聞記者としての私の職責を果すために社への一通りの報告を済ますと、喬介に....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
りに沖へ向けて放流します。それから早川は元の場所に戻って、荷物を引きずって草地へ這入ります。草地の奥の小さな池の岸にアセチリン・ランプを置き、池の中へ桁網に詰め....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
人|留守番のときの用心に、いつものように入口に鍵をかけ、電燈を消して、蚊帳の中に這入り、万一|忍び込むものがあるときの脅しに使う薄荷入りの水ピストルを枕元へ置い....
時代色」より 著者:岡本かの子
恋愛なんか可笑しくって出来ないと言う。家庭に退屈した若い良人が、ダンス場やカフェ這入りを定期的にして、而もそれに満足もしない。肯定と否定とが一人の人の中に同棲し....
岡本一平論」より 著者:岡本かの子
のまれに見るいたずらっ子が、悪たれたり、あばれたりすればする程、氏は愛情の三昧に這入ります。 氏はなかなか画の依頼主に世話をやかせます。仕事の仕上げは、催促の....
怪獣」より 著者:岡本綺堂
落ちついた居心地のいい家でした。老主人夫婦も若主人夫婦も正直な好人物で、親切に出這入りの世話をしてくれましたが……。」 言いかけて、博士は表に耳を傾けた。 「....
女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
黙って並んで歩き出した。女房の方が道案内をする。その道筋は軌道を越して野原の方へ這入り込む。この道は暗緑色の草がほとんど土を隠す程茂っていて、その上に荷車の通っ....