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這入る
「這入る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
這入るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
知った。ほんとうをいうと彼れは始めからこの建物がそれにちがいないと思っていたが、
這入るのがいやなばかりに知らんふりをして通りぬけてしまったのだ。もう進退|窮《き....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
中からはやさしく「お這入《はい》り」という先生の声が聞こえました。僕はその部屋に
這入る時ほどいやだと思ったことはまたとありません。
何か書きものをしていた先生....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
アにこれはお増にやるのさ。お増はもうとうに皸を切らしているでしょう。この間も湯に
這入る時にお増が火を焚《た》きにきて非常に皸を痛がっているから、その内に僕が山へ....
「俘囚」より 著者:海野十三
が、その奇妙な犯罪から、逆に証明されたのだ」 「というと……」 「つまり、人間の
這入るべき入口の無い金庫室に忍びこんだ奴が、三万円を奪った揚句《あげく》、番人の....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
だろう。お前の言葉は明かにその通りだ。進化の過程としては、社会もまた本能的生活に
這入ることを、その理想とせねばならぬ。けれども現在にあっては、個人には本能的生活....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
ものは一つもなかった。広い秋の野を行くように彼女は歩いた。 クララは寺の入口を
這入るとまっすぐにシッフィ家の座席に行ってアグネスの側に坐を占めた。彼女はフォル....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
速水輪太郎は急に不機嫌を露骨に面にあらわして、僕の前に四角な封筒をさし出した。
這入るときよりは数等楽々と、丸の内の第十三号館の表に出た。 いま速水輪太郎から....
「蠅男」より 著者:海野十三
ると報告をした。大川は悦んで、 「よし、そこから這入れ、三人外に残して、残り皆で
這入るんや。俺も這入ったる」 巡査部長は、佩剣を左手で握って、裏口へ飛びこんで....
「戦話」より 著者:岩野泡鳴
「いや、僕の隊は最初の戦争に全滅してしもたんや。――さて、これからが話の本文に
這入るのやて――」 「まア、一息つき給え」と、僕は友人と盃の交換をした。酔いもま....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
いじゃありませんか。内には庭はないし。それだといって、家の中へあんなものを連れて
這入る訳にいかない事は、お前にだって解ろうじゃありませんか」と母はいった。「可哀....
「凧の話」より 著者:淡島寒月
。 この凧遊びも二月の初午になると、その後は余り揚げる子供もなくなって、三月に
這入ると、もう「三月の下り凧」と俗に唱えて、この時分に凧を揚げると笑われたもので....
「狂女」より 著者:秋田滋
ばかりの赤ン坊を亡くしてしまったのだった。 死と云うやつは、一たびどこかの家へ
這入ると、それから後は、もうその家の入口をすっかり心得てでもいるように、すぐまた....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ール町へはいると、普通の家と軒を並べた、大きなギリシャ式の建物がある。戸を開けて
這入ると、玄関の正面には大きな石の廻り階段があって、その左右に室がある。室には、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
平、八蔵|交代に、八橋楼にての始末を語り、「それでね、いざという段になって部屋へ
這入ると御本人|様どこへ消えたか見えなくなりました。これは八蔵|殿が前へ廻って連....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
っている。高架鉄道を汽車がはためいて過ぎる。乗合馬車が通る。もう開けた店には客が
這入る。 フレンチは車に乗った。締め切って、ほとんど真暗な家々の窓が後へ向いて....