» 通り抜け

「通り抜け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

通り抜けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
人《ふたり》の少女だった。彼等はほとんど傍若無人《ぼうじゃくぶじん》に僕等の側を通り抜けながら、まっすぐに渚へ走って行った。僕等はその後姿《うしろすがた》を、―....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
はり宅の忰《せがれ》なんぞが受験準備をしているせいですな。――」 戸沢は台所を通り抜ける時も、やはりにやにや笑っていた。 医者が雨の中を帰った後《のち》、慎....
奇遇」より 著者:芥川竜之介
来た時には知らなかったが、家《うち》には門が何重《なんじゅう》もある、その門を皆通り抜けた、一番奥まった家《いえ》の後《うしろ》に、小さな綉閣《しゅうかく》が一....
十円札」より 著者:芥川竜之介
突然|身震《みぶる》いをしながら、クッションの上に身を起した。今もまたトンネルを通り抜けた汽車は苦しそうに煙を吹きかけ吹きかけ、雨交《あめまじ》りの風に戦《そよ....
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
じたことは一度もなかった。が、中学から高等学校、高等学校から大学と幾つかの学校を通り抜けることは僅《わず》かに貧困を脱出するたった一つの救命袋だった。尤も信輔は....
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
えのある心もちがした。機関兵はやはり敬礼した後《のち》、さっさと彼の側《そば》を通り抜けた。彼は煙草《たばこ》の煙を吹きながら、誰だったかしらと考え続けた。二歩....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
幽界の旅と現世の旅との大した相違点でございますが、兎も角も私達は、瞬く間に途中を通り抜けて、或る一つの馬の世界へまいりました。そこには見渡す限り馬ばかりで、他の....
或る女」より 著者:有島武郎
女の血を盛《も》ったようにときめいた。木部が葉子の前まで来てすれすれにそのそばを通り抜けようとした時、二人《ふたり》の目はもう一度しみじみと出あった。木部の目は....
或る女」より 著者:有島武郎
上がり口には愛子が姉を呼びに行こうか行くまいかと思案するらしく立っていた。そこを通り抜けて自分の部屋《へや》に来て見ると、胸毛《むなげ》をあらわに襟《えり》をひ....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
ーと手が出て、見物の袖を掴んだり、蛇が下りて来て首筋へ触ったりします。こんなのを通り抜けて出ることが出来れば、反物を景物に出すなどが大いに流行ったもので、怪談師....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
げて見ると女が本堂の奥に進んで行く。石川君の言によると「柱でも蚊帳でも総てすうと通り抜けて行く」のであった。奥に寝ていた少女が泣出す。誰かが行って尋ねて見ると「....
活人形」より 著者:泉鏡花
を窺えとて八蔵を出し遣りたる後、穏かならぬ顔色にて急がわしく座を立ちて、二室三室通り抜けて一室の内へ入り行きぬ。こは六畳ばかりの座敷にて一方に日蔽の幕を垂れたり....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
で魘されるお方もござりますそうでござりまする。それではお気味が悪くって、さっさと通り抜けておしまいなされましたか。」 「詰らないことを。」 客は引緊った口許に....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
) 泥足を捏ねながら、肩を揺って、大きに御機嫌。 給金の談判でした。ずんずん通り抜けて、寺内へ入ると、正面がずッと高縁で、障子が閉って、茅葺ですが本堂らしい....
式部小路」より 著者:泉鏡花
入ったんで跣足でしょう。 それまで世話をして、女房がね、下駄をつまんで、枕頭を通り抜けたのも、何にも知らず、愛の奴は他愛なし。 それから路々|宥めたり、賺し....